「……きゃあ!」
「ボサッとしてるな。乗るぞ」
あたしのカバンから勝手にリザードンを呼び出したグラジオは、楽しそう。
「あの子……最近全く外に出ていないのよ」
「でもそれは、仕事があるから……ですよね?」
「いいえ。わたくしはあの子に、仕事を押しつけたりしません。少しばかり大人になっても、わたくしにとっては大切な子供たちだもの、無理なんてさせないわ」
グラジオのお母さん…ルザミーネさんは防衛戦でそう言ってた。だから、何とかして連れ出さなきゃって思ってたところにちょうど、
「日輪の祭壇を見たいんだが……オマエも来るか?」
タイミングよすぎてびっくりしちゃった!でも、もしかしたら、ルザミーネさんが気を回してくれたのかなぁ…いろいろあったけど、美人だし、ほんとは優しい人なんだよね。
「オレはオマエが怖がっている姿をポケファインダーで撮ることにする」
「えっ、何で。話が違うよぉ」
「行くとは言ったが、ミミッキュを捕まえると約束した覚えはないぞ」
もう、そういうことばっかり……!怖いからくっついてくれたら…っていう男の子もいるって雑誌に書いてあったけど、グラジオはあんな本持ってても、興味ないのかな?それとも……クチナシさんたちはああ言うけど、あたしに魅力がないだけ?
「ミミッキュ、どこ?」
やっぱりゴーストポケモンのせい?さっきから寒気が……ガタガタと音を立てて動き出すのは、彼らの仕業ってわかってるけど、怖いものは怖い……。
「待て、かなこ」
「え?」
「なぜ壁の方へ行く。そっちは行き止まりだろ」
「い、行き止まりじゃないよ!試練の時はこの先に扉が……って、え?ない……!?」
どういうこと!?試練の時は確かに、この奥に扉があって、アセロラちゃんの試練……。