「……オレはオマエに惚れてる、だから、これからは、オマエと同じ世界を見ていきたい」
「グラジオ……」
ずっとずっと好きだった。カッコつけてるし、たまに言動がよくわからなかったりするけど、家族想いの優しい人で、あたしがアローラに来て、初めて大切にしたいって思った人。誰にでも優しいから、ついつい勘違いしちゃうんだよね、そう思ってたけど……、勘違いなんかじゃ、なかったんだ……。
「……ッ!?オマエ……、なぜ泣いている……」
「これは……、嬉し涙だよ……っ」
あたしを見つめるグラジオの瞳は、困惑と温かさがほどよく混じっていて、一層、綺麗に見えたの。
「かなこ……オレはオマエのことが好きだ」
「あたしも……、グラジオのことが好き……」
あたしたちのファーストキスは、涙混じりのしょっぱい味だった……。
「ひゅー!やるねー!グラジオー!」
「兄さま……!それにかなこさん、おめでとうございます……!」
「………………なっ!!!」
「……えっ!?!?」
ハウ…、に、リーリエ……!?どうしていきなり現れるの!?まさか……。
「え!?ど、どこから見てたの」
「すみません……。シルヴァディさん、のあたりから、でしょうか」
それって…、割りと最初からじゃ……!?ふとグラジオの方を見ると、ただでさえ白いカオが余計白くなってて……。
「リーリエー!おれたちもちゅーしよー!」
「ハウさん……!こんなところでは恥ずかしいです……!」
「ハウ……許さない……」
「何その目つきー!グラジオ怖いー!」
ハウとリーリエに見られてた?のは意外だったけど…、ハッピーエンドに終わってよかった、かな。でもここからまた、あたしたちの試練が、始まるのかもしれない……。