07 | ナノ
07
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「ブラビーー!よく戻りましたね」
「心配かけてごめんなさい、お父様」
どんどこ城に戻った丸出し一行。記憶をなくしていたオーロラは数年ぶりに父の元へ戻ってきた。
ブラビー王は笑み、
「ガラシャ、よく見つけてくれましたね」
と細川ガラシャに礼を言った。
「わたしの力でしたらこれくらい簡単です」
と、得意気に話す。

「…さて、丸出しよ」
「はい」
「でんでこ王国の象王を捕らえたようですね?」
「はい。…ですが陛下、奴の家臣がこの城へ向かってきております」
するとブラビーは顔色を変え、叫び出した。
「ブラビーー!今すぐでんでこ王国の者を捕らえるのです!今すぐにです!」
ブラビー配下の家臣達は一斉にフラッシュ一行を探すため城を出た。
「…丸出し」
「はい」
「私はでんでこ王国と我が国を合併し、一つの巨大な王国を作る事を目指しています」
「…クッ」
丸出しの野望はブラビーとは違っていた。丸出しは、でんでこ王国を我が物にしようとしており、その為にはおぞうとブラビーという二人の王が邪魔なだけなのだ。
「丸出し…?」
「はい、陛下。私が国民に『王を拐いたい』と相談するともう『どうぞどうぞ』と言って協力して下さったくらい優秀な国民です。きっと象王がいなくなった事で家臣以外の国民はとても喜んでいることでしょう」
「そして私が再び王となる。素晴らしいですね…ブラビー!」
その時の丸出しの顔は、怒りを抑えるかのようだった。
「…陛下、私の力をお貸しします。このクロスに願いを込めれば象王の家臣の居場所もつかめます」
それに対しガラシャはブラビーを心から信頼しているようだ。
「ブラビー!お願いしますよ」
「では…。
クロスよ!敵の居場所を照らし出せ!」
ガラシャは十字架を掲げると何かを唱え始めた。空間が歪み、市場で買い物をするフラッシュ一行が映し出された。
「なんか買い物してるぞ?あいつら」
「ブラビー!暢気に買い物とは…」
「陛下、わたしにお任せ下さい。彼らをわたしが必ず倒してみせます…それに、『彼』にも協力を頼みますから」
ガラシャは妖しく笑みを浮かべる。どうやら他にもブラビー配下の者がいるらしい。
「ほう…あなた方の力ならば必ず勝てるでしょう。期待していますよ」
「はい!」

「…あの、お父様」
それまで黙っていたオーロラが急に手を挙げた。
「なんですか?」
「この…青い鎧のお方のお名前は…?」
「確か…フラッシュ。象王に仕方なく仕えているという噂です」
「…フラッシュ、フラッシュって言うのね、フラッシュ…」
オーロラは何度も繰り返した。胸の鼓動が止まらない。
(どうしましょう…、私…敵の事が気になるのかしら…)

オーロラはそのまま間を飛び出し、そのまま自分の部屋に籠ってしまった。
「おい、どうしたオーロラ!
…陛下、私もフラッシュ一行を捕らえるためにでんでこ王国へ向かいます。失礼します!」
丸出しも間を飛び出し、オーロラの自室のドアを叩いた。
「ロラ!いきなりどうしたんだよ!」
扉の向こうのオーロラが、か細い声で答える。
「わからないの…。ただ、あの人から目が離せなくて…」
「じゃあそんなの俺様が忘れさせてやるよ!ロラ!」
「いや…!」

拒絶された丸出しは、舌打ちをしてオーロラの部屋から遠ざかった。

「…ふざけんじゃねぇよ」
その言葉が誰に向けられているのか。
はたまた丸出しに歯向かう全員に向けられていたのか。
それは、丸出しだけが知っている。
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