06 | ナノ
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ここはでんでこ王国の田舎町。この町の花屋の娘はとても美しい事で評判だ。
「ふぅ、今日もこれでお仕事おしまいね」
彼女の名はローズ。実は彼女は過去の記憶を失っており、気がついたら花屋でアルバイトをしていたのである。
ローズという名前も、花屋の主人がつけてくれたのだ。
「ローズ、今日はお買い物に行くんだろう?」
「そうよ、おじさま。日頃の疲れを発散してくるわ!」
そう言ってローズは主人に手を振った。


――町の市場

たくさんの屋台が並んでいる。その中でも真っ黒に塗りつぶされた屋台は、客から注目を浴びていた。
屋台には店主とみられる黒装束の男と、蒼い瞳のシスターが立っていた。

(まあ、なにかしら)

ローズは屋台に近づこうとする。

すると、屋台の店主がこちらに気づいたのか、ローズに近づいてきた。
「これはこれは…美しいお姫様。

…『お久しぶりです』」

「え…!?」
ローズは戸惑った。こんな人知らない。…知らないはずなのに。
「まさか私の事をお忘れですか?あなたの婚約者だというのに」
「なっ、何よそれ!知らないわ!」
黒ずくめの男はゆっくりとローズに近づき、こう言った。
「あなたは記憶を失っているのですよ、
どんどこ王国の…プリンセス」
ローズは衝撃を受けた。
「私が…プリンセス…!?」

「はい。あなたの真の名はプリンセス・オーロラ。
我が国の王がでんでこ王国を追われた際、記憶を封じさせてもらったのです」
「ど…どういうこと…?」
「…今にわかりますよ」
黒ずくめの男の背後に立っていたシスターが前に出る。
シスターは胸の十字架のペンダントを握ると、何かを唱え始めた。
「クロスよ!プリンセスの封印を解き放て!」
ぶあっ、と風が吹く。
「きっ、きゃあああああ!」

頭の中が、おかしくなりそう。

…ああ、そうか。
私の本当のお父様はでんでこ王国を追い出されてどんどこ王国に…

その時に私は記憶を消されて、おじさまの所に…


風が止み、オーロラは目を開けた。
「思い出しましたか、プリンセス」
「…ええ、丸出しさん。
だけど、このシスターの子は初めて会うわ」
すると店主…丸出しは、
「彼女は最近国王様の元にやってきた者ですよ、名前は…」
「細川ガラシャよ」
彼女は妖しく笑みを浮かべた。
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