一行目(+α)イメージ

君は視線だけでは愛は伝わらないと言うが、だとしたら八年飼っているあの金魚にはわたしの愛が微塵も伝わっていないのだろうか?

「目から鱗が落ちたようだよ」
先生は口から鱗を落としながらのたまった。食に対しての興味や知識の引き出しを全てその他のために空けてしまった先生は、その鱗のことは塩か脂か何かの塊だと思ったらしかった。鱗は再び先生の口の中へ戻され、やがて「不味い」と評価された。

緑色のゾウになって、優しい人間を好きになり、恋の痛みに苦しんで死ぬ夢を見た。

白い指が操り人形みたいに動いて、地球儀のつるりとした表面をなぞるのがたまらなく怖ろしかった。

昨日の話は忘れてくれ、と彼は言った。

「自分がされて嫌なことは人にしちゃあいけない」ってママは言うけど、だったらあたし、誰にもやさしくできないわ。

今、きみが何を考えているか分かる。

確かにそう拘ることでもないが、いかんせん安直過ぎやしないだろうか。

すでに電話は切れていたが、しばらく真っ黒の画面を見つめたまま動けなかった。

檸檬をひとつ買った。昨日読み終わった本に出て来たのだった。題名がそれだった。

遊ぶにも、勉強するにも、走るにも、あの人に告白するにも、嫌いなあいつをぶん殴るにも、まずは食べなくちゃ。

「君、黒電話なんて知らないんだろう」。こういうやつだよ、と下手くそな絵を描いて彼は得意げに言う。

全部嘘だ、と言わなくちゃあ、全部本当になってしまうのだと、わたくしはつい先ほど思い知ったのでした。

世の中には、助けを求めるのがうまい人間と、そうでない人間がいる。

これから僕は、君に会いに行く。一晩中磨いた、冷たく光るナイフを持って。

怒らないで聞いてね、と前置きした彼女に悪気はあるのだろうか。

世の中の女が全てそうであるみたいな言い方しかできない男だったから、いつか刺されて死ぬのだろうと思っていたが、まさかこんなに早く現実になるとは。

はて、いったい奴はどのことを言っているのだろう。ぼくは首を捻る。

この世の終わりとは何か。僕は、単純だが、それは生き物全てが言葉を話した時だと思う。

漫画のように上手くはいかない。ガラスは蹴破ると危ないのだ。

誰もぼくを止めることは出来ない。誰もぼくを殺すことが出来ないから。

ただ願った。神ではなく、君に。

きみがどんなに辛くても悲しくても関係ない。きみは愛される。これから一生愛されて生きる。そういう風にできてるんだ。

間違えた! 僕はラーメンを啜る手を止めて顔を上げた。ふたつ向こうの席で男が頭を抱えていた。

わたしが駆け出しの小説家だった頃の話ですが、まるで皮膚がチーズのようにとろとろと溶けて流れ出してしまいそうな、とても暑い日のことでした。

大人という生き物がいると思っていた。犬がいつまでも犬であるように、途中で猫になったりしないように、自分はいつまでも子供という生き物なのだと思っていた。

彼女はいつもなにかを探している。それは次の授業で使う教科書だったり、校舎の側の木にできた鳥の巣だったり、付け根からぽっきり折れた人形の脚だったりする。

不利になると分かっていても、男には行かねばならない時がある。らしい。

レンガを好きなように積んだ、子どもの落書きのような家だった。

みんなが彼女を知っている。彼女の何でもを知った気になっている。みんながみんな、彼女はみんなのものだと思っている。

で、結局どっちなんだ? と尋ねたくなるような言い方はよしてほしい。

どうもその人にはぼくの姿が見えていないらしかった。別にその人が目の見えない人であるとか、実はぼくが幽霊だとかではなく。

「別に女がみんな馬鹿だって言ってるわけじゃないよ」「ただ馬鹿だなって思った相手がみんな女だっただけさ」

わたしと彼が分かり合えない理由は別に何でも良かったが、手っ取り早いのは「信じている神が違う」ということだった。

目を開けるまで、外がいくら明るくても朝とは呼べない。

なぜそう人間目線でしか物が考えられないんだ? もしかして君は人間なのかい?

この国の人間は勝手にいなくなるのが好き。

おれは死んだら次の人生は台所包丁になります。どこの誰の作品かも知れませんが、よく切れる包丁になります。それがだめなら何でもいいが、家事の道具になりたいです。あなたに使ってもらえるような。

君がね、そうやってぼくしか縋るものがなくて、それが悔しくて、泣きそうになるのを一生懸命我慢しているのが、好き。

伸ばした手の先が見えなくなる夜の中、庭のどこかで猫が鳴いているのに混じって、君がこっちにやって来る音がはっきり聴こえる。

ライオンが手を叩いて笑っている。

文学に気を付けろ。それは日常の至るところへ隠れ、おまえを確実に蝕み、やがてあらゆる正解を殺す。

あなたがお金持ちだから結婚したけど、愛が欲しくなったら遠慮しないで言ってちょうだいね。あたしはすぐに出て行くわ。必ず言ってちょうだいね。

まるで宝くじの一等が当たったような声が路地裏から聞こえて来て、僕は思わず新品のスーツに手を入れ、内ポケットから携帯を取り出して両手で握り締めた。

あいつよりはマシな人生だ、と見知らぬ人を指して言うようなお前よりはマシな人生さ。

何だってやってみればいいさ。何だってやってくれ。僕はずっと側で見ているから。

お前が泣いているときまで憎みあわなきゃいけないのか。

太っても痩せても指輪のサイズは変わらない。それが悪い、そういうわけである。ふと目をやったらその時にはもう失くなっていたのである。

彼女は優しいわけではなかったのだ。ただ『ちゃんと』しているだけで、それでこちらがどう思おうが彼女にはこれっぽちも響かないのだ。

そこは誰かにとっての楽園であった。刑場であった。桃源であった。まほろばであった。地獄であった。そこは俗世であった。

唇は冷たかった。まぶたを閉じさせ、ほとびる頬をなぞり、ついでのように鼻にも触れて、何も残さず離れていった。

思えばこれまで、自分を愛することでどれだけ苦しいか、どれだけ悲しいか語る女とばかり付き合ってきた。そういう女が好きだった。

たまねぎを刻みながら、ついでに昨日の分も泣いてみる。

寂れた公衆電話がそれだけで嬉しくて、整理なんかめったにしない汚い財布をひっくり返した。ガムを包むために取っておいたレシートや、どこのか分からないポイントカード類を掻き分けて少しよごれた未使用のカードを引っ張り出す。電話をかけよう、と宛てもないのにそればかり考えていた。

さりげなく自動販売機の横に立つと、女の子の目が輝いた。

食玩のおもちゃが既に持っているものだったので別のものに替えて欲しいと、男は小さな体をさらに縮めるようにしてボソボソ言った。

今俺が相手をしているやつは俺が知らないだけで実は誰からも羨まれるようなすげえ人間なんだ。そう思いながら接していたら、会話は大抵上手くいく。

そのために人が死んだと聞くとどうしようもなく特別なものに感じられ、わたしも例に漏れず、そのオルゴールを手元に置きたいと思った。

猫用の缶詰と人間が食べるシーチキンって何が違うんだろう。それが知りたくて、彼は三十分もペットコーナーの棚の前に座り込んでいる。

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