ハンジの観察日記
あのリヴァイが恋をした。
長いつきあいのおかげか彼の些細な変化に私は気付いたのだ。
お相手はエレンと同期の好青年を思わせる子。
名前は知らない。
揺らぐことなく調査兵団に入団したらしい好青年は10位内の成績に入らなかったものの一般的には能力が高いらしい。
気付くきっかけになったのはリヴァイが新人である彼をリヴァイ班に誘っていることを目撃したことからだった。
リヴァイの言い分は「エレンは特別で監視対象な訳だがアイツもお前と同い年な餓鬼だから、せめてお前1人でも入らないか?」である。
しかし彼は『だったらアルミンやミカサのほうがエレンもうれしいと思う』とリヴァイに視線を合わせないように答えた。
彼の言葉からするにエレンと同期とはいえあまり仲の深い関係ではなかったのだろう。
するとリヴァイは折れずに「仲が良すぎる奴が来ても困る」と言う。
すると、青ざめた顔で
『すすす、すみませんが俺には無理です、ごめんなさい殴らないで下さい!!』
ー…つまりエレンとの仲がどうこうではなくリヴァイが恐ろしかったようだ。
リヴァイのあのときの表情といったら…ぶふ「おいクソ眼鏡なに考えてやがる」
ゲシッと蹴られて振り返れば本人様の登場。
あのあとリヴァイは強制的に彼をリヴァイ班に入れてカタカタと小さく震え怯えている彼はエレンによって慰められていた。
「ねえ、リヴァイ?もう少し彼に優しくしてみたらどう?怖がってるじゃない」
遠くに見える彼とエレンの背中を見て目をリヴァイは微かに細めた。
小さく舌打ちすると私を見て(睨んで?)
「…どうしたらいい」
人類最強だなんだと言われてもリヴァイも人の子である。
恋愛に対しては不器用なのだ。
「そうだね、まずはー…」
▽
何時も怒っているように見えるから怯えるんだよ。
それにリヴァイの一番強いイメージは人類最強なわけで言葉を悪くすれば凶暴ってことにもなる。
そのイメージを打開すればいいんだ。
「俺は人類最強でも、こんなギャップがあるんだよ」って感じのね!
そうだ、そろそろ掃除とかするんでしょ?
この前の掃除の風景見たけれど「おい、しっかりやったんだろうな?」『は、はいい!』「ちっ、なら報告しやがれ、ちゃんと、出来たんだからよ」って感じだったでしょ?
リヴァイからしたら誉めてるのかもしれないけれど完璧に怖がってるから。
もう少し直結に誉めてみたらどう?
頭なでるとかでも有りだと思うよ?
一応あっちは子供でリヴァイは大人だしね。
だからって痛く撫でないで優しく撫でるんだよ。
とにかく褒めてあげる!
出来るならボディータッチ!いいね?
(…ってアドバイスしたつもりなんだけど)
『リヴァ、リヴァイへいちょ…』
「ああ?」
『ごごご、ごめんなさい』
なんで君は壁に追い詰めて睨み上げてるのかな?
なんで壁に穴があいてるのかな?
なんで彼は腰を抜かしそうなのかな?
何やってんだリヴァイ!
『あ、の、俺、何かしましたか?』
「…掃除、よくできたな」
『う、え?ひぃ!』
頭撫でようと手出したら殴られると思って怖がられてるうううう!
リヴァイ傷ついてる!
今絶対傷ついてるよね!
後ろ姿で顔見えないけど背中が哀愁漂ってるよ!
「俺が…怖いか」
『…こわ、……!、怖くないです怖くないです怖くないです!』
強制的に怖くないって言わせようとしないで!
なんかもう可哀想!
どっちも可哀想!
ビックリマーク多いね、ごめんね!
「おい、ハンジ…お前のアドバイス通りやったら駄目だったじゃねーか」
「本当に私のアドバイス通りだった?」
リヴァイの話から纏めてみると掃除を終わらせた彼を発見したリヴァイが近寄ったそうだ。
しかし彼はリヴァイを見つけた瞬間に逃げ腰。
逃がすまいと壁に追いつめ、それでも逃げようとする彼の顔の横の壁に向かって足蹴り、結果。
壁に穴が開くという事態。
そこからは私が見た通りである。
「リヴァイ…私が言い忘れたのが悪かったね…暴力的なのはいけないよ…」
リヴァイ再チャレンジ。
好青年はコーヒーを飲んで一息吐いていた。
リヴァイもいそいそとコーヒーを持ってきて隣に座ろうとする前に私が引き止めた。
いつもみたいに勢い良く座ったら駄目よって。
するとリヴァイは素直に大人しく座った。
そのおかげか何時もよりおびえた表情にならない彼。
うんうん、いい調子じゃないか。
「さっきは…怖がらせて悪かったな」
『あ、い、いえ…』
「最近、よく頑張ってるな」
『…え?』
視線を慣れるまで合わせないようにアドバイスしたのは正解だったのかもしれない。
何時もより雰囲気の良い二人。
『リヴァイ兵長、俺…貴方の班に呼ばれたこと嬉しかったです』
「!」
『ひぃ!』
リヴァイ惜しい!
気持ちは分かるけどまだ緊張してるみたいだから見ないであげて!
『あ、あああ、あのだから、憧れの存在だったので…理由は何にせよ、その、』
「そうか、嬉しかったか」
『は、はい!』
伝わった、良かった。
そんな彼の表情。
よしリヴァイ、これからゆっくり。
こんな感じでお互いの距離を縮めていきなよ。
私は応援するからね。
「なら俺と付き合え」
『は…い?』
はい?
いやいや、何、はあ?
「あ?」
『ひっ、あの憧れと言いましても、その、そう言ったことではなく、そのあの』
「おい、お前は俺に憧れてんだろ?俺の班に呼ばれたこと嬉しかったんだろ?」
『は、はひ、ですが』
リヴァイイイイイイイ!
可哀想だからやめてあげて!
私が引き止めようと向かえばリヴァイは声を張り上げた。
「しっかり言えよ、イライラさせんじゃねぇ!!」
『リヴァイ兵長の言うとおりにします!』
うええええ!?
それって業務命令のとき答える言葉あああ!
リヴァイは満足げにすると、スタスタと去っていった。
それは強制的って言うんだよ…?
次の日からビクビク怯えながらリヴァイについて行く彼が多発的に目撃された。
だけどリヴァイに褒められたとき微かに微笑む彼の表情にリヴァイも満足しているようなので本当に付き合うのは後少しなのかもしれない。
ハンジの観察日記
初めて書いた内気主
子犬タイプですが攻めでもいけそう
攻めver
「おい、ヤれ」
『ひっ、へ、兵長しかし』
「俺の命令に従えないと?」
『(´;ω;`)』
誘い受け兵長ができる