Let's make believe that we are in love.

※マギ シンドバッド夢


『シン、シンドバッド!』


書類に印を貰うため我が王を探す。
俺は食客としてシンドリア王国に招かれ今では国の機密事項まで管理するような役職に就かせてもらっている。
ここに連れてこられたのは17歳くらいのこと。
俺の国が亡び、路頭に迷っていた俺を救い出してくれてからすでにもう4年。
警戒して警戒して拳を振り回していた俺を抱きしめてくれた、受け止めてくれた。
この人こそが我が王であると確信した。
この人に一生仕えたい、そう思えるくらいに。


「ああ、名前どうした?」


『この書類3枚に印をお願いします、あとお手紙が届いています』


「そうか、ありがとう」


シンは無記名で届けられた不自然な手紙を裏返して首を傾げ、用心したように手紙を開くと一瞬表情をこわばらせる。
そしてまたいつも通り笑って「暇が出来たら俺の部屋に来てくれ」と言うと去っていった。
隣にいたジャーファルさんに歩きながら手紙を渡すと手紙を見てシンと同じように表情をこわばらせてから開くのが見える。
何か重要なことでも書かれていたのだろうか。





『シン、遅くなりましたが名前です、入っても?』


「ああ、待ってたよ」


全ての仕事を終わらせてからシンドバッドの部屋に行くと何故か八人将たちも揃っている。
みんな真剣な面持ちであり、俺はこのときすでに嫌な予感を察していた。


『…あの、』


「この手紙、お前の国から届けられた」


『え、』


「お前を返せと言う文章だ、リルトルガ王国王子名前・苗字をな」


『!、俺が王子だと知っていたんですか?』


そんな馬鹿な。
俺が王子だとこの国の人間には誰にも言っていない。
俺の国は亡び、国王は全て殺された。
母も父も姉も弟たちも、俺だけを除いては。
そして逃げることに成功した俺は庶民服を着てシンドバッドに拾われたのだ。


『それに返せって…俺の国は民の反乱によって亡びたはず!今更俺が帰っても殺されるだけ―…』


「違うんだ」


『…え?』


「リルトルガ王国はシンドリア王国が滅ぼした」


思考が、止まった。
いや、考えるのが嫌になった。


『…シン、まさかみんな知っていたの?俺が王子で、シンドリアがリルトルガを滅ぼしたこと』


無言は肯定を表し、俺は腰が抜けて床に座り込んだ。
シンドバッドは俺の肩を掴んで。


「悪いと思っている、でも今はお前はシンドリア王国に欠かせない存在だ!分かるな?」


分からない、分かりたくない。
一気に指から感覚がなくなるのが分かった。
目の前にいるのは本当にシンドバッド?俺の知っているシン?


「シンドリアとしては名前を手放す気はないんだ、だから」


やめろ、やめろ。
俺はこの国の人間じゃない、帰る権利くらいある。だから。


「シンドリアに下ってもらうよ、第一王子名前・苗字」


なあ、何でみんな黙ってんだよ。
シンドバッドが意味わかんないこと言ってんの分かるよな?


「安心しろ、素直に下れば何の被害もない!」


『そんなこと、王子として許すことは出来ない、』


「王子?ああ、少し違ったな」


シンは俺の頬を両手で挟んで顔を上げさせると微笑んで。


「もう苗字家はお前ただ一人。国王と言ったほうが良いかな」


『国、王』


違う、亡びたはずの国から手紙が届いているなんておかしい。
苗字家は滅んだはずだ、俺が国王になるはずがない。
反乱した国民たちの誰かがきっと今国王として…。
いや、滅ぼしたのがシンドリアなら、国王は誰もおらず、シンドリアが手を出さないまま手紙が出せる状態という事は。
国民たちは今国王がいない状況で必死に生きているという事なんだ!


『俺は国に戻らなくてはならない、じゃなければ国民を守れない!』


「それが名前の答えか?俺たちを敵に回すのか?」


ー・・・この人こそが我が王であると確信した
ー・・・この人に一生仕えたい、そう思えるくらいに


『うあ、ああ、』


「素直に下ってくれ、そうすれば国民たちも救われる」





「…シン、いいんですか?あんなことしたら名前に嫌われますよ」


「ああ、いいんだよ俺はただ俺の国に仕えて俺を王だと見つめてくれればそれでね」


ただ、あの優しい目はもう向けてはもらえないんだろうが。


「好きなら好きと、言えばいいんですよ」


「はは、好き?そんな言葉じゃ軽すぎるね」


きっと、君の王国で出会ったその時から。
ずっと決めていた運命。
運ばれるべき命は、すべて俺のものとして。


ー・・・初めまして第一王子の名前です


ー・・・俺はシンドバッドだ、よろしく


ー・・・はい


その笑顔がなくなろうとも、君が俺の傍からいなくなるくらいなら。
国を亡ぼしてしまおう。
そしたらもう、お前に帰るところはココしかなくなるのだから。


Let's make believe that we are in love.
ー・・・恋人ごっこをしようか

こんな感じの長編が書きたいざます



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