05

トラファルガーは可笑しな存在だった。
緑の瞳を見てもいないのに俺を仲間にしたいと言ってきたのだから。
経験はないがだいたいの奴は目を見て依存し外にでることを勧めるのだが。


図書館を出ると海賊と思える厳つい奴らが一族を捕まえていた。


「目玉だけで裏ではかなりの値段がつくらしいな」
「一族全員でいくらになるかねぇ」
「いやいや待て、全員売ればそこで終いだ、女と男数人ずつ残して餓鬼をまた生んで貰えればその餓鬼をさらに売れることになる」


『なっ』


戦うことは教育されていなかった一族はみんな簡単に捕まってしまう。
お客は皆逃げまどうだけ。
村を襲う奴など今まで現れなかったのにどうして…。
緑の瞳を見ているのに何で危害を加えられるのだろう?
俺はただ混乱した。


「ど、して目を見てるのに!私たちが死ねば目は一生見れないのですよ!」


1人の遊女が叫ぶと撃ち殺された。
叫び声叫び声叫び声叫び声!!


「そりゃみんな馬鹿だったのさ、見たけりゃ側に1人置いておけばいいだけ。それ以外は売っちまうのが得策さね」


殺されたことで恐怖した一族は震え素直に捕まっていく。
駄目だ、捕まっても逃げても一族はー…家族は死んでしまう殺されてしまう。
俺しかいない、守れるのは俺だけだ!


『反逆的行為!』


銃や刀で脅す奴らの武器を曲げた。
刀は曲がり主人に突き刺さり銃は己に銃口を向ける。
落ちこぼれの俺は…ここで役に立たなきゃ駄目な気がした。
使い物にならなくなったのを確認し走り出す。
奴らの間を走り抜けてー…一人一人の肩に触れた。
そして指を大きく鳴らす。


「「「!!!」」」


その瞬間、折れ曲がる胴体。
おかしな方向へ曲がった体は悲鳴を上げて気絶する。
生きているものを曲げるにはこうして触れなくてはならない。


『俺はマゲマゲの実を食べた、ありとあらゆるものを曲げることのできる屈折自在人間だ』


「能力者か!」


先ほど視界に入らなかった銃を持っていた奴が銃口を向ける。
放たれた銃弾の軌道を曲げる。
そしてそのまま相手の方向に向かわせた。
勝利は目前ー…そう思った時。


「コイツがどうなってもいいのか!」


『メイヨー!』


人質として取られたメイヨーに身動きが取れなくなる。
その瞬間、思い切り殴られた。
被っていたフードが取れ黒い布が露わになる。
それを見るや否やニタリと男はいやらしく笑う。


「そうか、お前も一族の1人だったのか…どれ見せしめに1人目玉をくり抜いてやろう」


しゅるりと解かれた黒い布はパサリと白い雪の上に落ちた。
端正な顔と緑の瞳が開かれた。
思わず男はゴクリと息を飲む。
深い深い緑に吸い込まれそうになる。


「リア!俺の刀を直せ!」


聞こえてきたローの声。
見れば自分の曲げた刀を持つロー。
リアはパチンと指を鳴らした。
かくん、と曲がり真っ直ぐになった刀をローは振るった。
すると倒れる男。
人質としてメイヨーに銃口を向けていた男も倒れ村は救われた。

へたり込んだリアにローは駆け寄る。
顔を上げたリア。
初めて目と目が合った瞬間であった。


『ありがとう…ロー…ありがとう…っ』


(ああ、たく、綺麗な目だ)


そしてコイツは何で可愛げが無かったのに、こういう時にだけ己を名前呼びするのだろうか。
村のために一族のためになど、熱くなる奴は嫌いだったのに。
面倒事など嫌なのに助けてしまった。

どうしてリアをこんなにも仲間にしたいか何て分からない。
たぶん恐らくはこの曲げる力はかなり利用できると思っているからだ。
だけどもどうして。
別に強い奴なんてたくさんいるのに。
分からない、分からないー…。

無自覚な一目惚れ



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