01

グランドラインに入り、ハートの海賊団は初めての島に上陸した。
冬島ー…名を鳥籠、と人は皮肉を込めて呼ぶらしいが本当の島の正式名所は語られない島。
ある一族がその島に暮らしており、客人をもてなす。
一族の名は、いちや。
いちや一族は全員美しい黒髪と目を持つという。

鳥籠はドラム王国以上に寒さの厳しい島でも有名で作物や動物がなかなか育たない。
そこでいちや一族は体を売ることにした。

ー…お客様、今宵は戯れましょう、

島全体が遊郭。
だから鳥籠と呼ばれる。
体を売って稼いだ金で外から食料を買う。
これが鳥籠であった。

島に客としてきた富裕層は言う。

ー…興味本位で入ること無かれ。
ー…金のない者は入ること無かれ。
ー…目を見ること無かれ。

これを破ればもう島から出られない。


「キャプテンほんとに行くのー?」


「鳥籠は止めときましょうよー」


ベポたちの言葉を聞き流しハートの海賊団キャプテン、死の外科医ことトラファルガー・ローは鳥籠への上陸を決定した。
シャチとペンギン、ベポを連れて島におり立つ。
他のクルーたちには船内で待っていて貰うことにした。
嫌だ嫌だと言うシャチとペンギンだが島全体が遊郭という噂は本当なのかと内心ワクワクしている。


「いたな、いちや一族だ」


島に入ると町が見えた。
その町まで数メートルほど森が続き作られたであろう道を歩いていた。
道端に転がるは身なりの整っていない男、女。
年齢はまばらである。
ローはすぐさま理解した。
ー…コイツらは金がないのに入ってしまった客たちであると。

村に入る手前で現れたのが美しい着物姿。
胸の膨らみから女と分かる。
ローはこれが、いちや一族である事がわかった。
いちや一族は皆、目を隠すように黒い布で両目を覆っているという。
その噂通り女は目を黒い布で隠していた。
ローたちを見ると微笑み優雅に頭を下げた。
シャチかペンギンか、どちらかがゴクリと息を飲む。
頭を下げる、それだけの行為なのに美しい女。


「初めましての方ですね、鳥籠へようこそ」


「休息にと寄った次第だが遊郭の客としてでないと入れないか?」


「そんなことはございません、どうぞ休息にお使いください」


女は道案内にとローたちを招く。
雰囲気として去るもの追わず、来る者を拒まずといった感じだろうか。
村に入る門のような場所。
その門に寄りかかるようにして立つ男がいた。
足のすね辺りまでの長い真っ黒なコート。
コートの付属品であるフードで顔は見えないが門番と言ったところか。


「リアちゃん、お客様よ」


『違う』


ゆるり、と立ち上がるリアと呼ばれた男。
雰囲気にローたちは身構える。


『コイツらは海賊だ、客じゃない』


「村を荒らす気はない」


『海賊の言葉を信じるわけがない』


そりゃそうだ、とローはベポが持っていてくれた己の刀を持つ。


『メイヨーは村に戻ってろ』


女はリアの言葉に素直に頷く。
クルーたちを下がらせ様子をうかがう前に仕掛けた。


「room」


突然現れたサークルに驚くような動きをする。
腰から引き抜いた銃をこちらに向けて乱射する。
こんなものはサークル内では無意味。
自分に向かってきた銃弾を降り積もる雪と場所を交換する。
すると当然ながら男に向かう銃弾。
これで終わりと思っていたー…が。

男は慣れた様子で指をパチンとならした。
するとどうだろう。
銃弾の軌道が反れ、降り積もる雪ー…つまり地面へと落ちた。


「能力者か…!」


『貴様こそ可笑しな力を!』


鳥籠に入る者への忠告。
興味本位で入ること無かれ。
遊郭として一夜だけ遊ぶのならいいだろう。
長居はお勧めできない。
金のないものは入ること無かれ。
長居すれば男娼と遊女に依存するだろう。
けして安くない買い物を繰り返していけば一文無しになるのはすぐそこ。
目を見ること無かれ。
いちや一族の目は皆、美しい緑色。
美しく吸い込まれそうになるそれを見たらもう現実へは戻れない。
もう一度見たいとこの島に居着くことになるだろう。

ー…いちや一族と遊ぶのは、一夜だけにしなさい。

誰かがそう呟いた。

鳥籠の中身は誰?
遊女か男娼かー…それとも



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