14
※原作に少し乗ります
『シャボンティ諸島?』
「ああ、俺は見に行きたい場所がある…シャチとペンギン、べポは俺と来い。他は買い出しだ」
それで、とトラファルガーは俺のフードを深くかぶせる。
「リアは花でも見てこい、珍しいのがここは多い。…だが顔は絶対に見られるな」
今世界の億超えルーキーがこのシャボンティ諸島に偶然にも集合しているらしい。
ローもその中の一人であるのは変わりないが懸賞金8千万の俺も心配のようだ。
しかし俺はハートの海賊団のユニフォームを着ていないし単独行動していれば問題はないと思ったのだろう。
そしてここはヒューマンオークションも多く行われている場所である。
「俺がいればハートの海賊団にいる鳥籠からの脱走者であるリアもいるとすぐバレる、オークションに出せばいい値がつくと分かっているからな死に物狂いでお前を探すことだろう」
だから船には置かない。
一番最初に狙われるから。
だから俺とは一緒に行けない。
そうトラファルガーは告げて何かあれば連絡するししろ、と頭を撫でた。
(そうだよな…俺も母国に花をとどけてやりたいし…)
鞄にトラファルガーから貰った本とお小遣いを入れて船から降りた。
幻想的な島に驚く。
鳥籠から出なければこんな風景一生見ることが出来なかったのだろう。
花屋や普通に生えている花を見ながら歩いていればただの花好きな観光客に見えるのかガタイのいい奴等は俺に見る気も起きていないようだ。
見つけては積んで押し花にしていく。
ピンクに黄色に紫。
綺麗な花を何も咲かない雪国に届けるために。
暫くふらついていると周りの人間がざわつき始めて膝をつき始めた。
俺が分からずきょときょとしていると花屋のオジサンが慌てたように俺に言った。
「お前さんも早く膝をつきなさい!天竜人だ!」
『天竜人…?』
俺は素直に膝をつく。
するとボロボロになった人間に乗っかる男が綺麗な女性を首輪で繋いで数人連れて歩いて来る。
聞いたことはあったが、こんなところで見ることになるとは。
恐らく首輪がついているのが奴隷。
俺の存在がばれて天竜人に捕まってしまえばトラファルガーに迷惑かけることにしかならないと俺もジッと通り過ぎるのを待つ。
しかし天竜人は渋滞の病人が移動することすら許さずタンカーを蹴り飛ばしナースを妻にすると当たり前のように言い放った。
それは重なる。
自分の国に金持ちが来たとき、何をされても笑って許す遊女や男娼たちのことを。
「待ってください私…!」
「ちょっとお待ちください!彼女はわたしの婚約者で…!」
すると天竜人は出てきた婚約者に銃口を向ける。
俺は思わず指を鳴らした。
(曲がれ!)
しかし少し間に合わず飛び出してきた酒屋の婚約者の腹部へと銃弾が当たってしまう。
致命傷は免れたが早く手当してやらないと…。
そんな俺の思考はある一人の男によって停止した。
歩いているのだ、真ん中を堂々と天竜人がいるのも関わらず。
それに驚愕した天竜人は銃弾を放つが軽々と避けて刀を抜こうとする。
俺はその瞬間、思わず立ち上がった。
花屋のオジサンも周りの人たちも俺の行動にざわつく。
今の騒ぎの中なら、あの婚約者の男をここから逃がせると思った。
『おい、大丈夫か?』
「…っ、マリィ…!」
まだ意識もある。
悔しそうに泣く男を抱きかかえた。
先ほどのとんでもない行動をした男は女の子によって天竜人を傷つけるという大事をしないで済んだようで死んだふりをしている。
「…お前も何故立ち上がる!」
向けられた銃口に手を添える。
『それ(銃)は玩具じゃないんだ…反逆的行為!』
パチンと指を鳴らせばバキンと曲がる銃口は持ち主の天竜人の方向へ。
このまま撃てば自分に弾があたる、まるで主人に銃が反抗しているように。
そして俺は逃げるように男を抱えて病院へと向かう。
怒ったような声が聞こえたが関係ない。
(それにしても…あの緑髪みたいな海賊もいるんだな…)
俺は念のため服を着替えてトラファルガーに連絡をとり、あったことを話すと1番グローブのヒューマンオークション会場に来るように指示した。
しっかりとフード付きの服を買って着直し今まで着ていた服は鞄に突っ込んで1番グローブへと向かった。
海賊狩りとの遭遇
おまけ
「ジュエリー・ボニーのおかげで最悪の事態は避けられましたな…あの男は"麦わらの一味"海賊狩りのゾロです」
「―あの一味はイカレた連中ばかりと聞いているが…天竜人に斬りかかるとは…正気じゃねえ」
「救われて当然…奴に今死相は見えない」
「あの野郎一瞬もの凄ぇ殺気放ったな…獣だ、ありゃ」
「2番手にして1億2千万。人に従う様な男には見えないが…船長の度量が伺えるな…」
「それにもう一人…」
「ああフードで顔は見えないが能力者であるのは間違えない」
「海賊が人助けなんてありえねえよ!」
「しかし何処かのルーキーの仲間の可能性は高い…」
「さっき死の外科医がいた…まさか鳥籠じゃないだろうな」