04

畜生、何度も俺は呟いた。
愛馬の脚力にかなり感謝しながら後ろを見れば10メートル級が3体も俺を追い掛けて来ている。
立体機動装置の故障(というよりも壊された)により腰にあるのは重いただの鉛となっていた。
森を出てすぐに巨人に見つかったのだ。


『畜生が』


ガチンと俺は立体機動装置を捨てた。
立体機動装置が無ければ俺は無力なのか?
いいや、まさか。
何故なら俺は天才だからだ。


(いや、出来損ない、か)


あのチビがいなきゃ俺が人類最強になれたのに。
―…なんてな。

俺は馬から飛び下り、剣を握り締めた。
そして立体機動装置もないのに巨人に向かって走り、足下に辿り着くと踏みつぶされる前に高くジャンプして巨人の足に剣を突き刺し、反動力で再びジャンプし次は巨人の太股に剣を突き刺しぶら下がった。
地道ではあるが人間が小さなハエをなかなか殺せないように小さな人間が自分の身体を伝って速く移動されると巨人もなかなか殺せないようだ。


『しゃ!!着いた!』


立体機動装置があれば一発で着ける首にやっとの思いで着き、首を削ぎ落とした。
巨人が倒れる反動で次の巨人に向かう。
予定では首 に着く予定だったが所詮は人間、到着したのは腹で腹に剣を突き刺した。
しかし、もう一匹が俺がぶら下がっている巨人もろとも殴った。


『―…ッ、糞が!!』


倒れる巨人に刀を突き刺したままの俺も倒れる。
もう一匹の巨人が大きく口を開けた。
腹ごと俺を食う気か!
ギュッと目を瞑った。
死ぬのか、死ぬのか?
―…たくない、死にたくない!


「ハイネ!!」


誰が俺の名を呼んだ。
恐る恐る目を開くと巨人は二匹とも倒れていた。
そして腰に温かな感触がし顔を横に向けると胸元が見えた。
どうやら俺は抱き締められているようだ。
助けられたのか、そう思って顔を上げた。


『ありがとう…エルヴィン』


「会議が早く終わったんでね、様子を見にきて正解だった」


エルヴィンによれば会議が早く終わり、そろそろ壁外調査に向かった俺達が帰る頃だろうと壁の上から見ていたらしい。
すると俺が立体機動装置を捨てて巨人に立ち向かって行く姿を見つけたと言う。


『見捨てるんじゃないのか、エルヴィンは』


「確かに見捨てる覚悟はある、けれど助けられる命を捨てるほど冷徹ではない、それに」


『それに?』


「ハイネは大切な戦力になる、今死なれては困るものさ」


今死ななかった分、これからしっかり戦って貰うよと笑うエルヴィンに笑ってしまう。
全くこの人は。


『了解しましたよ、エルヴィン団長』


ぐっと身体を起こした瞬間、ガスッと腰を蹴られ再び地に手を付いた。


「何してやがる、出来損ない」


『チビ!!』


チビ達も無事到着したようだが何故俺が蹴られなくてはならないのだとチビの胸ぐらを掴んだ瞬間、エルヴィンとリヴァイ班に止められた。


天才になれなかった、



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