03

「これから壁外調査に向かう」


今日は近場の調査の為、俺の班リヴァイ班のみで行われ指揮も俺が取る事になった。
余談だがあの出来損ないも俺の班のメンバーで今も不服そうな表情で俺を睨んでいる。


『おいチビ、エルヴィンは』


「今日は俺が指揮だと話しただろうが、出来損ない」


出来損ないはふんっと鼻を鳴らすと立体機動装置を腰に着けると馬にふわっと跨る。
俺の指揮の元で動くのが納得いかないらしい。
今日は比較的近場の調査、しかし巨人は何時現れるか分からない。
次の調査の為の安全ルート探しと言っても良いだろう。
しかし壁の外で安全な場所など存在するのだろうか、答えは否だ。
森の中に入り、ルートを見ながら馬を走らせていると後方から叫び声が聞こえ振り向くと8メートル級と6メートル級の巨人がもの凄い勢いで走って来た。


「立体機動に移れ!!」


俺の言葉に皆、馬を飛び下り木に上る。
―…だだ1人、出来損ないを除いては。


「おい出来損ない!!何してやがる!!」


『うるせえチビ!!テメェはさっさと殺して来い!!』


何かあった、と俺は判断した。
しかし出来損ないの言葉通りたった 二体の巨人ならば先に殺すべきだと向かう。
二体の首を削ぎ落とし、出来損ないの元へ。


「何があった」


『立体機動装置がイかれてやがる』


ガチガチとスイッチ動かすが全く反応が見られない。
これは完璧に故障と言っていいだろう。
全く、料理ばかりしているから立体機動装置のケアを忘れるんだ。


『チビ、お前は今俺が立体機動装置をオシャカにしたと思ってんな』


ガチンと立体機動装置からガスの入った部分だけを引っこ抜く。


『立体機動装置は俺達の命だ、それをケアしない奴なんて少なくとも調査兵団の中にはいねぇ、そうだろ』


「…ああ」


『まだ分からないのか糞チビ』


苛立ったように馬を止めると俺を見た。
髪色と同じ紫がかった黒い瞳と目が合う。


『壁の中で誰かが俺の立体機動装置を壊したんだよ』


声の大きさは小さく、リヴァイ班で出来損ないの声を聞いたのは恐らく俺だけだろう。
では何故、俺だけに言ったのか。
それは俺以外の誰かが出来損ないの立体機動装置を故障させた可能性があるからだ。
俺とコイツは仲が悪いが立体機動装置を壊すような、みみっちい真似をしないとコイツは判断したの だろう。


『とにかく俺は足手まといになるから森を出て壁の前で待ってる、お前達は進め』


「死にたいのか」


『理解しろよ』


グィッと俺の胸にガスの入ったボンベを押し付けて馬を操り引き返して行く。
班の奴らに何故アイツは引き返したのかと問われたがただ「立体機動装置の故障だ」とだけ伝えておいた。
しかし嫌な音がする。
シュウシュウと何かが抜ける音だ。


「―…」


「どうしたんですか、兵長」


「一度町へ戻る、」


「え?」


俺のガスボンベには小さな穴があき、残り少なくなっていた。
俺はガスボンベを取り外し、出来損ないが渡したボンベを取り付けた。


「…チッ」


聞こえた舌打ちに理解する。
この中に俺とあの出来損ないを殺そうとしている人間がいる事を。


敵は巨人だけじゃない



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