33

『リヴァイ、リヴァイ!』

『もう汚くない、綺麗にしたんだ!』

そうやって真っ赤になった肌を見せる。
振り返ったリヴァイの目は酷く軽蔑したもので。

(あ…)


「近寄るな」





『………っ!』


目が覚めると見慣れた天井が見えて夢だったのだと気付いた。


(いや、あながち夢じゃないのかもな…)


ふと、隣を見るとエレンがいて飛び起きた。
そのままベッドから落ちて尻を強打。
大きな物音にエレンは目を覚まし、俺を見るやいなやカアアッと頬を赤らめた。


「す、すみません!出て行きますね!」


慌てた様子で靴をはくとバタバタと部屋から出ていった。
なんとも初々しい反応である。
そんな初々しく若々しいエレンを見て少しだけ笑みが出た。
擦りすぎのうえに熱湯を浴びたおかげで皮膚は真っ赤になっていたがエレンが包帯を巻いてくれたようで、ほぼ身体全体が包帯で埋まっていた。


(食堂…いくか)


リヴァイに会うのが怖いが仕方ない。
今日は何も予定はないしパンとミルクを貰ったら部屋に戻ろう。
そう思って部屋を出て食堂へ向かう。
足取りは重く、到着したときにリヴァイが何処にいるか把握してから入ろうと見渡す。


(あれ、いねぇ…)


なら好都合だと配膳をしてくれる場所に向かう。


『おばちゃん、パンとミルクちょうだい』


「あいよ」


『それと「コーヒー」も』


…ん?
今声がかぶった。
隣を見ればリヴァイがいてサッと体温が下がるのが分かった。
リヴァイの表情からしてリヴァイも俺がいたことに気付かなかったようだ。
おばちゃんがコーヒー2つとミルクとパンを用意する時間、2人の間は重かった。


「はい、先にパンとミルクとコーヒーね、」


『ありがとう』


やっときた、と安堵しトレーを受け取ろうとしたとき、おばちゃんが「あ、」と言って手を滑らせた。
そのとき熱湯のコーヒーが俺の腕に降りかかった。


『〜〜〜〜〜っ!』


火傷と上に熱湯。
とんでもない痛みに俺は声にならない声を上げた。
おばちゃんは青ざめて慌てたように水を腕にかけた。
そのときリヴァイが俺の腕を掴んだ。


「…なんだ、これは」


『……?、なに、が』 


リヴァイが見たのは包帯。
そして俺全体を見ると服の隙間から見える包帯に眉間に皺を寄せた。


「ハイネさん!」


『エレン…』


そっと気遣うように俺の身体を支え立ち上がらせると「いきましょう」と囁く。
だけど、
俺はリヴァイを見た。
久しぶりな気がした、リヴァイと目を合わせるのが。


「…エレンよ」


「なんですか?」


「…いや、いい」


なにを期待してるんだ、俺は。
リヴァイが、引き留めてくれると?
何故そう思う何故期待する。
自惚れるな自惚れるな。

そうやって期待したってなにも変化なんてない。


交錯する、入り混じる
エレンは真っ直ぐしてそう



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