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思ったよりエルヴィンとの会話が長くなってしまった。
制服を脱ぎハイネの部屋に向かうときは既に24時を回っていた。
もう開いていないかも知れないとドアに手をかけて押せばそれはゆっくりと開いた。
口端が上がるのが分かる。
へ部屋に入ると真っ暗で電気は消されていた。
もう寝ているのか、と音を出来るだけたてないように進みベッドに腰掛けた。
ギシリ、とスプリングの弱いベッドが軋み俺の体重の分だけ沈んだ。
「ハイネ…」
寝ているであろう人物の髪に指を絡ませればそれはサラサラと心地よく手から滑り落ちる。
暗い部屋にも目が段々と慣れてきて顔を近付ければぼんやりとハイネの寝顔が見えた。
何時も身長の関係で見上げてばかりだが、これも良いなと髪を絡ませていた手を寝ている顔の横に置けばまたギシリとベッドが鳴いた。
その音と気配に気付いたのか目が合う。
『リヴァ、イ』
「起こしちまったか」
『来ないと、思った』
「ああ?」
『ん…』
そのまま再び眠ってしまった。
寝ぼけていたのだろうか、
来ないと思っただと?
それはどう受け取ればいい。
思い上がった解釈をしていいのか。
いやまさか、コイツに限ってそんな事はないだろう。
もういい、寝てしまおう。
シャワーは明日朝浴びればいい。
そうやってハイネの体に覆い被さるように眠った。
▽
ー、汗の匂い。
違う、これはリヴァイの匂いだ。
心地よい重さと温もり。
いくら待っても来なかったあのチビが、来た気がした。
でもまだ凄く眠いから、もう少し眠らせて。
朝になったら確認するから。
そうして目が覚めたときリヴァイがいたらいいのにな。
(あ…いた)
おはよ