25

目を覚ますとベッドの上だった。
なにこれ、天国?地獄?どっちでもいいけれど死後の世界ってのはかなり平凡的らしい。
寝起きでぼーっとしていた頭がどんどん覚醒してくる。
違う、ここは俺の部屋だ。
ガバッと勢い良く起きると丁度良いタイミングでリヴァイが部屋に入ってきた。


「起きたか」


『…ーリヴァイ』


リヴァイは持ってきたお湯の入った容器とタオルをベッドの隣にある棚の上に乗せると俺が2日間眠り続けていたことを教えてくれた。


「汚ねぇから風呂に入れたいところだが絶対安静らしい」


だから拭いてやるよとタオルを見せる。
相変わらずの潔癖症だ。
にしても俺はあの後どうやって助かったのだろうか。
確かに巨人に食われたはずなのにー…。
そして、ふと思い出した。
俺は飲み込まれる前リヴァイに告げようとしたのを。


『っ、』


「!」


俺の服に手をかけたリヴァイは俺の反応に手を引っ込めた。
妙な沈黙に気まずく感じてしまっているのは俺だけだろうか。
やばい、俺、


(リヴァイのこと、す、)


恋愛対象としてみていただなんて…。
自覚してしまったらもう後戻りはできない。
意識していつも通りに悪態つけない。
やべぇ、顔に熱が集まる。
リヴァイにこのことを知られたら軽く20回は死ねる。
絶対隠し通さなくてはならない事実だ。


「…自分で拭けよ」


ほら、と渡されたタオルを受け取ろうと手を伸ばすと指先が触れ合う。
うわ、としてバッと手を上に振り上げるとタオルが物凄い音を立てて天井に叩きつけられた。


「悪い」


『え?お、おう』


なんでリヴァイが謝ってんだ?
寝間着のボタンを外しながら疑問を感じているとお湯に浸けなおしたタオルを再び渡された。
今度は手に触れないようにして受け取るとゴシゴシと寝汗を拭っていく。
何意識してんだ、何歳だよ俺は。
餓鬼の初恋みたいに意識しちまって馬鹿みたいだ。
拭い終われば少しだけすっきりして息を吐いた。
絶対安静と言われてもこのくらいしなくては逆に体が怠くなるものだ。


「メシもここで食べろ、じゃあ俺はエルヴィンに呼ばれているから行くぞ」


タオルとお湯の入った容器を持って出て行ったリヴァイがドアが閉まることで見えなくなり足音後聞こえなくなってからやっと息を吐く。
こんな、餓鬼みたいな反応して馬鹿だ。
もう良い年齢なのだからやめなくては。


(自分がするなんて、思わなかったから)


でもこの感情は心の奥底に眠らせておこう。
この気持ちを知られて嫌悪されてしまうリヴァイの表情なんてものは見たくない。
俺は臆病者のようだ。


『あ…』


リヴァイに御礼言ってねーや…。
会いたい、今すぐ会いたい。
さっさと夕食でも何でも良いから用事のついでで良いから早く来いよ。
自覚した感情

もちろんリヴァイが謝罪したのはリヴァイもハイネと同じ行動をしたからです



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