17
ハイネと部屋で酒盛りをする。
酒をガツガツと飲んでいくハイネは頬が赤くなり座り方もだらしなくなってきていた。
俺も久しぶりに飲んだ事でボーっとしていたが今ではハイネの方がダウン寸前だ。
ハイネも久しぶりに飲んだのだろうか。
カクンカクンと頭が下がって落ちそうになる寸前で反射的に手首を掴む。
そして力付くでベッドに寝かせてから、ふと思う。
今自分が掴んでいる手首。
そこには白い包帯が巻かれている。
これは前に俺がこのベッドにハイネを押し倒して作った傷だ。
かなり強く掴んでいるというのにベッドで眠りそうなハイネは眉間に皺ひとつ寄せていないのだ。
―…まさか
俺は一気に意識が覚醒し包帯を剥ぎ取る。
剥ぎ取って露わになった手首には痕ひとつとして残っていなかったのだ。
「…ハイネ」
ああ、まただ。
この気持ちの悪い感情。
『何…リヴァ、イ』
意識が今にも落ちてしまいそうなハイネの髪を梳く。
この行動の意味は何なのか問おうとしたが、どうせ『死ね』としか返ってこなそうだから止めた。
「お前も…」
感じているか、この胸の不快感を。
そう言おうとして口を 噤んだ。
その代わりに、すっかり眠ってしまったハイネの手首に口付けて新しく包帯を巻き直した。
願わくば、この包帯が取れる事がないように。
▽
朝、目が覚めると隣では眠りこけているハイネがいた。
時計を見れば10時を指していて驚いたが今日は休みだった事を直ぐに思い出して息を吐く。
(俺が野郎と寝て何で不快感を感じないんだ?)
『ん…触んな…死ね』
「お前が死ねよ」
サラサラとした髪に指を通していると目を覚ましたハイネは眉間に皺を寄せた。
「そんなにイヤか」
『イヤだ』
少しチクリとして、それを誤魔化すようにガスッと蹴り上げると布団の中で痛みで悶えるハイネは涙を浮かべる。(不意打ち過ぎる…とブツブツ呟いている)
『リヴァイに触られるとモヤモヤしてイヤになる』
「…は?」
『あ?』
それは、俺もだ。
お前を知っていくに連れて不快感が増すのだ。
恐らくお互いに自分の中にある感情の名前を知らずにイライラしているのだろう。
ハイネはベッドから起きると立ち上がる。
しかしへなへなと再びベッドに腰を下ろす。
完全に二日酔いのようだった。
俺は少し酔ったら止めたがハイネはそうでは無かった。
俺は食堂に行きペットボトルを貰うとコップについで渡す。
キンキンに冷えた水は酔いを覚ますだろう。
俺は両手首に巻かれた包帯を見て口端を少しだけ吊り上げた。
包帯は君の痕
気持ち的には両思いの2人