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エレンの観察日記


調査兵団に入団する前にリヴァイ兵長にガッツリ蹴られた。
巨人になれる力なのか人間になれる力なのか分からないが巨人を駆逐したいという気持ちに偽りはない為に俺はここにいる。
調査兵団に入って間もなくの頃、エルヴィン団長とリヴァイ兵長とハンジさんに連れられて紹介されたのがハイネさんだった。
整っている容姿と紫がかった黒髪。
リヴァイ兵長より細くないがエルヴィン団長よりは細い。
調査兵団の平均男性よりはいくらか華奢なイメージを持たせる人だった。
飲んでいたコーヒーを置くと立ち上がって手を差し伸べた。


『ハイネだ、よろしく』


ハイネさん、と心の中で繰り返す。
アルミンから後に聞いた話しだが戦力はリヴァイ兵長が4000人分の兵力だとしたらハイネさんは2000人分の兵力だとか。(ミカサでさえ100人分と言われているのに凄い世界だ)
才能はあったもののリヴァイ兵長と同世代で同期というだけで、その才能は埋もれて"最強になり損ねた天才"というレッテルを貼られた事で嫌悪し始めたようだ。


(という事は…リヴァイ兵長とハイネさん って仲悪いのか?)


そのままエル ヴィン団長は俺達を連れて会議室に向かう。
ハイネさんは慣れた様子でコーヒーを淹れ始めた。
良い香りにカップに目を向けた。
4つのカップには湯気が立ち上っていた。
…4つ?
今会議室にいるのは5人の筈。
もしかしてハイネさんは飲まないのかも知れない。
そう思っていたがコーヒーが置かれてないのはリヴァイ兵長だった。
リヴァイ兵長とハイネさんは視線を合わさないまま無言で座りハンジさんは肩を竦めた。


「エレン、気にしないで?何時もああなのよ」


「はぁ…」


リヴァイ兵長は慣れたようにハイネさんからコーヒーを奪い啜りだした。
ハイネさんはガタンと立ち上がった。


『人の盗ってんなよ!死ね!!』


「お前が死ね」


俺は驚く。
あの美しく唇から死ねという言葉が発せられるなんて。
調査兵団にいながら「死ね」なんて言葉を相手に。


「2人共、いい歳なんだから子供のようなことはするな」


エルヴィン団長の言葉に2人はお互いを睨み合って舌打ちすると大きな音を立てて座る。(2人共年齢を感じさせないが何歳なのだろうか、同い年という情報しかない)
会議室ではハイネさんの紹介を兼ねた俺への対処の仕方の説明であった。
俺が暴れ出したらリヴァイ兵長が殺す、という内容にゴクリと息を飲む。


『安心しろよ、チビが殺せなかったら俺がザックリやってやるからな』


ニッコリといい笑顔で言われたくない言葉にうなだれるしか無かった。

リヴァイ兵長もハイネさんも長い間お互いのことを名前で呼び合わないらしい。
チビと出来損ない。
お互いに気にしていそうなことを的確に押さえたあだ名だ。
そんな2人に何があったのか名前で呼び合うようになった頃、ハイネさんの両手首に包帯が巻かれていて原因はリヴァイ兵長に押し倒されたと言うじゃないか。
調査兵団内ではリヴァイ兵長とハイネさんが付き合っているという噂で持ちきりとなったが、今では2人の威圧感を与える怒りの言葉により誰も付き合っているの"つ"の字も言わなくなった。

そして今日―…ハイネさんがリヴァイ班を抜けて分隊長になることが決まった。
ショックと同時に気になってしまったのは寂しげに見つめ合う、2人の姿だった。


15歳の俺には分からない
確かリヴァイ兵長の年齢って四捨五入して30代なんですよね
そのピチピチ肌どうやって保つんですか



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