12

それは、オルオの何気ない一言から始まった。


「ハイネがリヴァイ兵長の班にいるのはバランス悪くないか?」


リヴァイの口調を真似ているつもりらしいが全く似ていないしペトラも困っているが、そんな事は今はいい。
とにかくオルオはコーヒーを啜りながら突然言い出した。


『は?』


「ハイネだって天才の1人だろう、リヴァイ兵長と一緒にいたら他のチームに偏りが出てる気がするんだよなぁ」


「まぁ私たちよりハイネの方が強いしねぇ…」


オルオの意見は珍しく通っている。(作戦の時は何時も真面目だが)
確かに俺はリヴァイと同期でキャリアも長い。
リヴァイのせいで目立たないではあるが強いのだった。(自分で言うのも何だが)


『…別にこのままでいいんじゃねぇの』


支障は特にないだろ、そう言えば「まぁな」と返された。
何時も通りがいい。
今さら環境を変えられたら大変だし。





「ハイネ、」


『何、エルヴィン』


オルオの発言から数日後、廊下を歩いているとエルヴィンに呼び止められた。
会議室に招かれるとハンジとミケ、そしてリヴァイが座っていた。


「話しとは何かな?」


ハンジの言葉からするとコイツらと俺は理由も言われずにエルヴィンに呼び出されたようだった。
エルヴィンは「ああ」と一言して俺の肩に手を乗せる。


「ハイネ、君をリヴァイ班から外す事にする」


『―…は?』


「!」


リヴァイが俺とエルヴィンを睨んだ気がした。
どういう事かとエルヴィンに問えばオルオの発言を聞いていたらしく納得したらしい。
リヴァイの傍にはエレンもいるし戦力としては十分。(と言うよりリヴァイ班は元々エレンの監視と護衛の為の班だが)
ならば戦力不足のチームに移動してもらおうとしたとか。
しかしリヴァイはエレンの傍にいなくてはならないし移動させるなら俺が一番適役と踏んだのだ。


『―…それで俺は何処のチームだ?』


「ハイネには分隊長になってもらう」


『分隊長?、なぜ俺だ』


「戦力や判断力、経験からしてだよ、今さらだが何故ハイネを分隊長にしなかったのか不思議なくらいだ」


この前の調査で分隊長が戦死したらしく、そこに配属されるらしい。
それについて兵長であるリヴァイと分隊長であるミケとハンジに意見を聞きたいとか。


「ハイネがいいな

ハンジの言葉にミケも同意するように頷く。
俺はリヴァイを見た。
しかしリヴァイは無言のまま俺を見て動かない。
エルヴィンは肩に乗せたままの手に力を入れた。


「やって、くれるな?」


これは隊長からの、命令だ。
なのに、俺は


『いや、だ』


何故、否定したの。


命令に逆らうのかよ、自分



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