11

何故自分が自分より背のデカい男で俺を嫌う男にキスしたのか自分でも理解出来なかった。
衝動的に押し付けた唇は最初は勢い余って歯が当たり血の味がして。
その後の薄い男の唇の感触にゾワリとして舌をねじ込んだ。
相手を見れば動揺のあまり目を見開いたまま動かない。
だから、つい酸素を奪うくらいに深く深く口付けてしまった。
離した先にあったハイネの表情は見た事がないくらい驚いていた。
何であんな事したんだ。
あんな事をしたら更に距離が遠くなるだけだ。
何で、俺はあんな事をしてこんな後悔しているんだろう?
理解が出来ない、自分もハイネも。


『リヴァイ』


「…なんだ」


『何だじゃねーよ、』


食堂でコーヒーを飲んでいるとハイネがやってきて長椅子にドカリと座るとジロジロ見てきた。
何時も通りのハイネだ。
それなのに視線を合わす事が出来ない自分がいる。
するとハイネは耳元に唇を寄せてきた。


『俺達の立体起動装置をぶっ壊しやがった野郎を次の調査で見つけるからな』


「…―」


そんな事か、と言いそうになり口 を噤んだ。
立体起動装置が誰が壊したのかやら巨人は一体なんだだのやらエレンの力の活用法やら、今の俺にはどうでも良かった。
ハイネに俺はどう思われてしまったのか、これが一番重要だったのだ。


「…平然と話しかけてくるんだな」


『リヴァイは何時も意味が分からないからな』


「そりゃお前もだ」


お互いにお互いを理解していない。
所詮俺達の関係なんてものはこんなものだった。


『リヴァイは今日、リヴァイじゃねーな』


「は?」


トンチンカンな言葉に振り向けばハイネはジッと俺を見ていた。


『そんな調査兵団の事以外を考えるお前なんて、お前じゃない』


あと掃除とか、と付け加えてから。


『そんなお前、嫌いだ』


そう言って立ち上がって走り去ってしまった。
手首の包帯は、まだ取れないらしい。
そんなに強く握ってしまったのだろうか、イマイチ覚えていないし人間相手の暴力の手加減も上手く分からないから。


(じゃあ何時も通りの俺は)


今が嫌いと言うのならば何時も通りの俺は?
俺は舌打ちをして何も入れてないブラックコーヒーを一気に喉に流し込んでエルヴィンの部屋へと向かった。
次の調査の話しを聞きに行くために。


期待させるような言葉なんて
リヴァイもハイネも戦いばかりで恋愛なんて自分には無関係なものだと思っている
ましてや男同士でだなんて、

恋愛と自分を繋げられない彼らが手を伸ばして繋いでいく話し



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -