10

まだ手首が治らない俺は朝食も食堂で食べる事にした。
俺が食堂に入った瞬間、ザワッと一気にざわついた。


『―…?』


なんだ、気分が悪い反応しやがって。
ただえさえ俺とリヴァイの立体機動装置を故障させた犯人だって分からないままでイライラしているというのに。
朝食を食べている最中にリヴァイが食堂に入って来ると、またもや食堂がざわついた。
リヴァイも首を捻る。
キョロキョロと周りを見て俺を見つけると洗濯物を渡してきた。


『ああ、洗い終えたのか、リヴァイがビチョビチョにするから』


「だから洗ってやったんだろうが」


『はっ、当然だね、あの後声が出にくかった』


リヴァイと俺の会話に次はしんと食堂が静まり返った。
まったく本当に何だと言うんだろうか。
イライラしているのはリヴァイも同じようで近くで笑いをこらえているハンジを掴んだ。


「おいハンジ」


『何の騒ぎが言いやがれ』


リヴァイと俺が睨むとスススッと食堂から人が消えた。





『俺とリヴァイがヤったぁ!?』


「まぁそん な噂が流れててね」


つまり昨日ハンジが確認したい事とは、この事だったのか。
何 でどうやったらそんな噂が出るんだ。

―…その包帯どーしたの

―…リヴァイに押し倒された


『あ』


あれか。
それに加えてリヴァイの昨日の行動に(乱暴なあーん的ななにか)洗った俺の下着と衣服。
咳き込み過ぎて声が出にくかったという俺の言葉。
あれがすべて重なってのあれか。
俺とリヴァイはハンジを解放した。


「…」


『リヴァイ?』


ずっと黙ったままのリヴァイを見る。
小さくてよく顔は見えない。
おい、と腰を屈めた瞬間にガチッと歯に歯が当たった。


『ッ!?』


痛みで目を閉じる。
すると、ぬるりと何かが咥内に何かが、いや分かるのだが理解したくないそれが俺を掻き回した。
そして血の味がした時にリヴァイは離れた。


『お、い、今なにした』


「…」


リヴァイは動揺する俺を何時も通りの表情で見上げて。


「周りがうるせーから、本当にしてやろうかと思っただけだ」


噂を本当にして何になるんだと問おうとしたがリヴァイが逃げ出して行った調査兵団のメンバーに掃除をさせるとズンズンと歩いていった。


『意味、わかんねー』


ファーストキスは血の味だなんて
俺ららしいよね




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