09

「その包帯、どーしたの?」


訓練中にペトラがひょっこりと顔を出して俺の両手首に巻いてある包帯を見て問う。
ああ、と適当に返事をしてからエルヴィンと話しているリヴァイを睨む。
あの野郎が強く握るから。


「兵長?、何かあったの?」


『ああ、押し倒された』


「!!?」


ペトラが口を両手で押さえて驚愕の表情をしていたが関係ない。
あのリヴァイのせいで俺は手首を痛めて訓練にも励めないし上手く料理も出来ない。
イライラは募るばかりだ。
リヴァイが何考えているのか分からない。
だから嫌いなんだ、今も。
―…そう、今も。
その強さに憧れ、嫉妬して。
最強になり損ねた天才だなんてレッテル貼られて。
本当に大嫌いで、逆恨みもいいくらいだった。
だけど別に俺だってそこまで子供じゃないから仕事をしていくウチに手が届かない存在と理解して、またイライラして気付いたら別に嫌いなんて感情は薄れていく筈だった。
けれどこうして何年も磁石のように嫌っているのはリヴァイが何を考えているのか分からなくなっているからだ。




「珍しいじゃないか、ハイネが食堂で食べるなんて」


『ハンジか、まぁこの手首じゃ料理も上手くいかないからな』


「次の調査には間に合うの?」


『間に合わせる』


味の薄いスープを口に運んでいるとズキッと手首が痛み、スプーンを落とした。
ハンジが心配げに見つめる。
まったく、これも全てリヴァイのチビのせいだ。


「…その、ハイネちょっとだけ確認があるんだけど」


『何だ』


ハンジが口を開こうとした時、ガチャンッと勢い良く俺の隣に食器が置かれてドカリと長椅子が揺れる。
リヴァイが眉間に皺を寄せたまま俺の隣に座ったのだ。
ハンジは口を閉じて隠すようにスープを飲む。
じっとリヴァイは俺の手首を見てから俺の皿をガッと取ると顎を掴み皿を口に押し付けると流し込み始めた。
急な事に驚いた俺は気管支に詰まらせて咽せた。
ゲホゲホと咳き込めばボタボタと俺の服にスープが零れ落ちる。
リヴァイは眉間の皺を更に深くして俺を無理やり立ち上がらせた。
ゲホゲホと咽せながらリヴァイに腕を引かれて廊下を歩く。
何なんだ、何がしたいんだ。
理解出来ない、だから嫌い。


『ゲホッ、痛ッ』


無理やり押し込まれてワイシャツを引きちぎりそうな勢いで脱がせるとシャワーで俺の胸元を濡らした。
スープを流してくれているよ うだが冷水だから冷たい。


「汚ねぇな」


『お前が零したも同然だろ』


「そうだな」


やっと落ち着いた俺はやっとの思いでリヴァイに文句を言った。
結局リヴァイのシャワーの使い方のせいで下着まで、ぐっちょりと濡れた俺は全て着替えるハメになった。


「これは俺が洗っとく」


『同然だろ、チビ』


何でスープを皿ごと飲まそうとしやがったんだよ!!


不器用な君と鈍感な僕は



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