ぼやける視界と霞む意識の中で、何故か鮮明に見えた、※※さんの顔。どこか楽しそうで、嬉しそうで、哀しげだった。そんな顔しないでほしいのに、泥に沈んだみたいな怠惰感のある私の躰ではどうにもできない。だけど、※※さんの手が私の頬を滑る感覚だけは、雲の上にいるような、そんな軽快なものだった。

次第に覚醒する私の脳味噌。それでも客観的に世界が見えている。※※さんは、私の躰の至る所にキスをした。頬に、髪に、目尻に、首筋に。胸、脇腹、恥部、太股、ふくらはぎ、爪先。身体中に、まんべんなくキスマークをつけられた。キスマークなんて、所詮鬱血痕だから躰の箇所箇所がひりひりしてるけど、どうしてかわからない、子宮が疼いた。

そういえば、一番キスしてほしい所にはキスしてもらえなかった。蚊に咬まれたことに気づいた瞬間痒くなるように、キスをもらえなかったことに気づいた私は不満を募らせた。きっと、それすら※※さんの策略だろうけど、ねだらずにはいられなかった。

※※さんは優しいから、素直におねだりしたら焦らしたりはしない。私の申し出に、ただ一言、いいよ、と答えて深く深く口付けをしてくれた。歯を押し分けて入ってきた舌に、私の口内は犯された。歯列をなぞられ、舌が絡んで、そして吸われた。気持ちよさに身悶えることしかできなかった私に、※※さんは、えっちだね、と優しく罵った。その言葉すらも私を感じさせることに、※※さんは気づいている。

キスされたことで、すでに私の陰部からはとめどなく欲望が流れ出していた。室内の明かりに照らされて、いやらしく輝いている。私の敏感になった部分は、もう限界だった。ひくついて、仕方がない。

我慢ができないことを伝えたら、瞬時に鈍痛が陰部を襲った。

次の瞬間には、喩えようのない、淫靡な快楽。

潤った膣内で、※※さんが暴れた。抜いては入れ、入れては抜く。その摩擦に、私は喘ぐしかなかった。お互いに、すぐそこに限界があったらしく、ほどなくして私は身を震わせながら子種を受け入れた。温かいそれは、ゆっくりと子宮を満たした。

※※さんは、ずるり、と私の中から引き抜いた。それから、愛してる、と、何度も囁いた。

囁きの次の頬の乾いた痛みも、※※さんの愛だと知ってるから、解ってるから、私は痛くもなんともない。



* * *
充たされる性欲
終わらない暴力





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