同じクラスの一番隅に座る彼。休み時間はいつも本を読んでいる。たぶん帰宅部。あまり目立たない。喋ったこともない。

だけど、気になるのです。



「あんた、最近あいつばっかり見てるよね。」
「え、そ、そうかな…」

友人に指摘されて私は思わず身構えた。もしかして変な想像されていたらどうしよう。

「見てる、っていうか、観察してる、ってかんじじゃない?」
「わかるわかる!夏休みの自由研究の対象あいつにしなよ!!」
「な、何言ってんのよ!」

大きな声でそんなことを言う二人に恥ずかしさを覚える。やましい気持ちなんて無い。ただ彼の生態が気になる。どんな家に住んでて、何時に起きて、何を考えて、何を食べて、何を思い、寝るのだろう。私の思考の範疇じゃないんだろうなぁ。

「でもさ、実際結構謎だよね、あいつ。」
「何考えてるかわかんないよねー。」

実は何も考えてないんじゃないかな、なんて思ったり。

「あんた、今度話しかけてみなよ。」
「え、なんで…」
「仲良くなれるかも。」
「うーん………」

二人の必死の後押しによって、私は半ば無理矢理彼に近づくことになった。






結局彼はただの寂しがりの人見知りだったわけで、今や何故か家族になっているわけだけど、私が初めて話しかけた瞬間の、彼のびっくりした顔は忘れない。






* * * * *
学校の友人と合同でお題サイトを開きました。今回のタイトルはその中の一つから。
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