「また吸っているのかぃ、ニコ中め。」

そう言ってガムを俺に吐き飛ばしてきたのは、史上最強潔癖者。人に触れるのも触れられるのも嫌う。そのくせしてガムを吐き飛ばす。パラドックスに陥ってる。あまりにもクレイジー。

「あれだ、『口が寂しい』んだよ。」
「ガムを食べたまえ。」

んなもんで寂しさが埋まるかよ、ノウミソまで潔癖だったら世話ねーな。

「7年続いてる習慣を消せるかよ。」
「7年前の君は高校生だろう。」
「気にすんな。」

こいつは人生の履歴書すら潔癖性の名の下にする気だ。

「7年前の君に何があったんだか…会って説教してやりたいよ。」
「……………」
「なんだね。」


「俺の心臓になりたいか…?」


結局、輪廻しなかったあいつ。

あいつが死んだのが7年前。
俺が初めて煙草を吸ったのが7年前。

「なりたいわけなかろう。僕を早死にさせる気かね。」
「、冗談だ。」

煙草を揉み消して、薄ら笑い。

「いや、心臓なら、まだいいかもしれないね。」
「はぁ?」
「心臓なら癌細胞にヤられはしないからね。僕は肺癌にはなりたくないのだよ。」

言ってくれるね。

「お前を真っ黒に染めてやろうか。」
「冗談はやめたまえ。君とこうしているだけで、僕の身体は煙草臭くなるというのに。」

じゃあ帰れ、と、当然の一言をかけると、奴は呟いた。



君は7年経っても鈍感なのだね、
と。



「君の心臓には、ましてや、君の肺には生まれたくないがね、」
「………………、…っ」
「君の吸う煙草になら生まれたかったかも、しれないね。」

奴は、続ける。

「君の唇に触れて、君の体内を少しずつ汚して、」

そして、

「やっぱり、僕が、先に、逝く、ん、だ」



彼女は、二度、他界しました。







* * * * *
7年後みたいな。
女の子でした。
7年前の一人称は「俺」で、もっと男みたいな口調だったけど、女の子のつもりでした、私の中では。
輪廻したらちょっと柔らかくなったっていう。まあ心臓に輪廻しなかったけど。
しかし、リハビリになってないな。




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