むかしむかし、あるところにとても可愛らしい女の子がいました。その女の子はおばあさんが青い布で作ってくれた頭巾を大層気に入っており、またそれが女の子にとても似合っていたので、みんなは女の子の事を、”青ずきん”と呼ぶようになりました。
ある日、お母さんは青ずきんを呼んで言いました。
「青ずきん、おばあさんが風邪をひいて寝込んでいるらしいの。お母さんはこれから彼氏とデートだから、お前がお見舞いに行きなさい。」
「わかりました。」
「このお金で何か買って行きなさい。」
そう言ってお母さんは2000円渡してくれました。お母さんは、青ずきんに一人でおばあさんの家に行かせるのは初めてではなかったので全く心配していません。途中の道で不審者が多発していることも教えませんでした。
青ずきんは出かけました。
おばあさんの家は、青ずきんの家から歩い40分くらいの場所にありました。青ずきんが道の小さな信号を待っていると、知らないおじさんが話しかけてきました。
「こんにちは、お嬢ちゃん。一人でどこ行くの?」
おじさんはにこにこと、青ずきんの目線に合わせて話しかけてきます。優しいおじさんだと思った青ずきんちゃんは素直に答えました。
「おばあちゃんのお家よ。風邪をひいたらしいから、お見舞いに行くの。」
おじさんは言いました。
「歩いてでは大変だろう?おじさんの車に乗せていってあげよう。」
「ほんとに?いいの?」
いいともさ。
おじさんはそう言って青ずきんを車まで誘導しました。茶色いシートに座らせられた青ずきんちゃんは、シートベルトをしていい子にしていました。するとおじさんが言いました。
「お母さんは一緒じゃないのかい?」
「お母さんは彼氏とお出かけするんだって。」
「へぇ?君に、一人でお見舞いに行くように言ったのかい。」
「そうよ。いつものことだから慣れたわ。」
流れていく景色を見ながら、青ずきんは答えました。青ずきんはおばあさんのことは好きでしたが、お母さんのことは大嫌いでした。機嫌が悪いとすぐに青ずきんのことを殴ったり蹴ったりするのですから。機嫌が良くてもご飯は1日に1回しかもらえません。更に、機嫌の善し悪しに関わらず、彼氏だと言ってお母さんが連れてくる色んな男の人の性欲の捌け口にされるのです。
青ずきんが言いました。
「ねぇ、おじさん。」
「なんだい?」
「おばあちゃんのお家は、こっちじゃないわ。」
「知ってるさ。」
「じゃぁ、どこに行くの?」
「僕の家さ。」
青ずきんは、おじさんの言っている意味がよく分かりませんでした。しかし、一つだけ聞きました。
「おじさんの家に行ったら、お家にいるより幸せになれるかしら?」
「それは保証するよ。」
青ずきんは迷わずおじさんに着いていきました。
数年後、青ずきんは花嫁姿でおじさんのもとを訪れ、お義父さん今までありがとうございました、と言いました。
おじさんは泣いて喜びました。
めでたしめでたし。
* * * * *
虐待かな、って思ったら勇気を出して24することが大事とは思いながら、誰かしてくれるだろう、とか思うんでしょうね。
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