夏休みだ。
お盆休みだ。
なのに何故こんなに忙しい!!!!!


「ねー、叔父さん、これはー?」
「それもさっきの公式使えば解ける。」

夏休みを利用して地元から妹(40歳)と姪(18歳)が遊びに来た。だがしかし、親愛なる妹の頼みとは言え、何故俺(45歳)が姪の夏休みの宿題を手伝わねばならないのだろうか。しかも姪は高校3年生、受験生というやつ。高卒で就職した俺がこんな問題分かるわけねーだろ、と思いながらもできる限りは手伝ってやってる。それでも分からない問題が出てくる。そうすると姪からの馬鹿にしたような視線を浴びる。

何故だ!!!!!!!!!

お前が分からんもんが俺に分かるとでも思ってるんだろうか。言っておくが俺は商業高校出身なんだ。お前の通ってるみたいな頭の良い進学校なんて通ってないの。

「あついー……」
「うちは節電だからな。28度以下にはしないからな。」
「胸の谷間が蒸れるー…」
「女の子がそんなこと言わないの。」

妹は、娘に彼氏が出来ない、と頭を抱えていたが、俺は原因を見つけた気がした。

「っていうか、お母さんどこ行ったの。」
「夕飯の買い出し。」
「アイス買ってきて欲しいー。」

この我が儘娘は…。立派な携帯電話があるなら電話して買ってきてくれと頼めば良いのに。そう思って姪の携帯電話を無言で指差したら、なるほど、という顔をした。お前は頭良いのか悪いのかどちらかにしろ。

「……もう車乗って帰ってる途中だって…」
「はい、残念。お勉強しよーねー。」
「叔父さん買ってきてー!!近くにコンビニあったでしょ?」

このやろう……。

「買ってきてー!!」
「帰ってくるまでにこのページ全部終わらせとけ。終わってなかったらお母さんにあげるからな、アイス。」
「やー!!!!」
「いいからやっとけ。」

玄関でサンダルを履く俺に、後ろからチョコアイスがいいなー!!、とかほざく姪に、適当な返事をして外に出た。湿気の混じった熱気が俺を襲う。エントランスに出ると、隣の部屋の奥さんに会った。40代の一人暮らしには少し立派なマンションなんだが、普通の家族が住むには最適なマンションだ。同じ階に住む奥さん方とはそれなりに仲が良い。

「単身赴任だったんですか?」
「……いえ…あれは妹と姪です…」
「あ、すいません、凄くお似合いだったので、」

かっこわらいかっことじ、みたいな口調だ。まぁいいか。妹が高校生の時に一緒に歩いてたら彼氏と思われたことも多々あったし。

そのあと適当に会話をしてからコンビニに向かった。今のタイムロスは姪へのハンデだ、ハンデ。

コンビニに着くと、寒いくらいの冷気。店員とか風邪ひいたりしないのか、これ。入り口付近のワゴンにあるスーパーカップを見たりしてみるけど、チョコがなかった。抹茶……俺は抹茶の方が好きなんだけどなー。仕方なく、ペットボトルの棚の横の棚にあったハーゲンダッツの棒付いたやつを買ってやった。ちょっと高いけど、まぁいいか。妹は酒買ってくるかな。とりあえずスーパーより高くつくけどチューハイの缶とおつまみを買ってコンビニを出た。



やっぱり暑かった。

アイスが溶けないように小走りで帰った。小走りで帰ることで、ハンデに意味があったのかどうかはわからなくなったけど。

玄関を開けると、外以上コンビニ以下の涼しい空間。

「終わったかー?」
「ふおおおおお!!!!!ギリギリ終わった!!!!!!!奇跡!!ミラクル!!」
「あーはいはい。」

コンビニ袋を漁って、ハーゲンダッツを渡す。姪は、俺がまさかハーゲンダッツを買ってくるとは思ってなかったらしく、受け取ってからとんでもない顔をしてた。パソコンがいきなり落ちてデータぶっ飛んだときの俺は多分こんな顔してるんだろうな、みたいな、そんな顔。溶けないうちに早く食べろよ、と言ってチューハイを冷蔵庫に入れに行こうとしたら、姪が携帯で写真撮り始めた。いや、だから早く食べろ。

「あとでお母さんに自慢する!」
「うん、早く食べなさい。溶けるでしょーが。」
「お母さん、ハーゲンダッツとか買ってくれないからさ。」
「早く食べなさい。」

いただきます!、と言って頬張った姪の顔はアイスより溶けてた。どれだけ嬉しいんだ。

「ただいまー。」

妹が帰ってきた。

「お兄ちゃん、あのさー、お酒買ってくるの忘れた……」
「いいよ別に、コンビニで買ってきたし。」
「あとさ、頼まれてた電池も忘れた………でも近くにコンビニあるし、急ぐならコンビニで買ってきてよ。」

お前ら、早く帰れ。





* * * * * *
小娘に振り回されるおっさんが書きたくて。
全然えろい話じゃないけど、タイトルがえろい。
あと、私、商業高校に憧れてます。





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