貴方の温かい腕も、優しい眼差しも、知ってるのは私だけだと思ってた。ソファに座りながら私を抱きしめてテレビを見るのが普通で、貴方とご飯を一緒に食べて笑いあうことができるのは、私だけだと、そう思ってた。行ってきます、と言って出かけた貴方を一晩中家で待ってたのに、ついに帰ってこなかった。きっと仕事が終わらなかったんだと、私は自分に言い聞かせて寝たけれど、起きても貴方が居なかったから、捨てられたんだと思った。気づかなかった私が馬鹿だっただけなの。気づかない振りをしてた私が馬鹿だっただけなの。たまに貴方から香ってくる香水だとか、前まではつけていなかった指輪だとか、いっぱいサインはあったのに。私が泣いたとしても、きっと貴方は気づいてくれないから。手の塗装が溶けていくような暑い部屋で、私は心を殺すのよ。



今日も虚空を見つめながら恋をしています。





* * * * * *

棚に飾られた美少女フィギュアの恋。





top


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -