丸く小さい顔。
白く極め細やかな肌。
さらさらの黒髪。
宝石のような両の瞳。
空気を震わせる声。
俺よりも小さな身体。

全てが集まったあいつは、きっと天使か何かだ。



「あっついねー。蕩けちゃいそうだよー。あ、あんたはすでに蕩けてたよね、脳みそが!」
「っせーな!!!」

グラウンドを駆け、けらけらと笑いながらそいつは俺に某スポーツドリンクを渡してきた。痛いくらいに冷えたボトルが、堪らなく幸せなこの季節。

「太陽死ね。」

俺がそう呟くと、

「杉浦さんに罪はないよー。」

なんて、真顔で返事してくる。まぁ、冗談に冗談を返してきてるだけなのは分かってるんだが、こいつの頭の回転の早さには脱帽だ。季節的に脱帽したくないけど、とか、こいつの頭の回転には及ばない冗談を脳内でしてみた。

「熱中症で死亡した人100人越えたらしいね。」
「お前も気を付けろよ?んな細い身体してるから、俺は心配だよ。」
「大丈夫だよ、三食しっかり素麺食べてるもん。」
「更に心配になった………。」

え!?なんで!?ごめん!!、って必死に謝ってくる。別に怒ってないよ、心配なだけ。そう言って頭を撫でたら、ふにゃふにゃ笑った。蕩けちゃいそうだよ、って言ってたのはお前の表情の話だったのかぃ?

あ、でも俺の理性も"蕩けちゃいそうだよ"。



「そういえばさ、聞いた?」
「何を?」
「来年から、この学校さ、」
「ん?」
「共学になるらしいよ。」




やっぱり太陽死ね。




* * * * *
暑いです。





top


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -