完璧な彼の後ろの席は…



「あーかーし?」

「………」

「ねー赤司?」

「…高塚、俺は心底お前が嫌いだ」

「なに突然?ツンデレ?」

「……………」


数学の授業中、わからないことは赤司に聞けと先生までお手上げ状態な私、高塚由紀の頭はきっと完全に右脳しか働いていないんだろうなと思いながら、私は前の席に座っている赤司の背中をつっつく。

無反応だけど、それでも諦めずにつっつくと嫌そうな態度を全面的に出しながら振り向く。


―――赤司征十郎

容姿端麗、才色兼備。
そんな四字熟語は全て彼の為にあるのではないかと疑うぐらい彼は完璧だ。
バスケ部ではキセキの世代とか言われてる上に4番だし、いつもテストでは1位だし、顔も綺麗だし、背も彼の回りがでかすぎるだけで実際は高いし。

神は不公平だな、なんて思いながら振り向いている彼をボーッと見ていると頭を叩かれた。


「俺を呼んだならさっさと要件を言え」

「あぁ…ここがわからなくて」

「これは―――…」


キセキの世代は皆イケメンで、実際かなりモテてる。
帝光中のアイドル的存在な彼らの中でも赤司と黄瀬はかなり告白されているみたいだ。
よく他の女子が振られたという話を聞く。


「…――だ、わかったか?」

「ねぇ、なんで付き合わないの?赤司なら選り取り見取でしょ」

「…話を聞いていろ馬鹿が」


また頭を叩かれた。
でも気になって頭に入らないと言うと、彼はため息をついてから静かに口を開いた。


「…好きでもない奴となぜ付き合う必要がある」

「まぁ…確かに」

「わかったらさっさとこれを解け。解説は書いておいたから読め」


女の私より綺麗な字で書いてある解説は私でもとてもわかりやすかった。

既に前を向いてしまった彼の背中をつっつく。


「赤司、ありがとう。で、次なんだけどさ」

「……複数あるならいっぺんに言え」

「ごめんごめん、って…チャイム鳴っちゃった」


授業終わりの合図が校内に鳴り響いた。
それでも構わずに解説をしながら細かく書いてくれる彼はやっぱりなんだかんだで優しいと思う。

今度は叩かれないように解説を聞いていると、“赤司にお客さん!”と遠くから男子が叫んだ。

なぜかため息をついてから彼は“少し待ってろ”と言うと、立ち上がってクラスの出入口まで向かった。

ボーッとその様子を見ていると、彼は表面に笑顔を貼り付けながら女子からなにかを貰っていた。
それから少し話をしてから彼は戻ってきた。


「なに貰ったの?」

「…誕生日プレゼント」


彼はなぜか鬱気味にそう言った。
普通は喜ぶところではないかと思いながら彼の机を見ると、両脇にかかっている大量のプレゼント。

普通は妬ましくなるところだが、なぜだか可哀想に見えたからとりあえず彼に“おつ”とだけ言っておく。


「今日誕生日なんだ?」

「あぁ」

「私もなんかあげようか」

「………」


そう言うとまたもや心底嫌そうな顔をする。
なぜかその顔がおもしろくて、私はなにかないかとバッグを漁る。
そして出てきたものを彼に渡した。


「はい、飴ちゃん」

「…」

「なによ、手作りケーキとかがいい?」

「まだ死にたくはない」


くそ…馬鹿にしやがって。

不適な笑みを浮かべながら肩肘を付いて私の飴を取って口に含む彼。
その姿が似合いすぎてなぜかムカついた。


「続き、やるぞ」

「休み時間だよ?」

「…俺が教えてやってるというのに休む気か」

「ありがとうございますすみませんよろしくお願いいたします」


ため息をついて再び解説を始める彼。
この環境は実はとても役得なのでは?と考える。

この時間がずっと続けばいいのに。
コロコロと口の中で飴を転がす彼を見ながらそう心の中で思った。




完璧な彼の後ろの席は…





(前に頭良い人がいるとすっごく助かるわ)

(……席替えするか)

(ちょっ…!!)


……………………………………

ちなみに席替えはしません(笑)
先生が主人公に教える自信を無くして全て赤司様に任せてるから席替えしたとしても2人は近い設定←裏山…



(20121218)

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