リア充爆発しろという言葉があるけれど
ここはバスケ部からキセキの世代を産み出した名門、帝光中学校。
キセキの世代と呼ばれたメンバーは、運動はもちろんのことそれぞれ他のことにも優れていた上、顔が良いということもあり、女子が黙っているわけがなかった。
特にモデルもやっている黄瀬のファンはすごかった。
「キャー!!黄瀬くんおはよう!!」
「おはようっス!」
「黄瀬くん!!今日も練習見に行くね!」
「ありがとー!」
朝練も終わり、部室から校舎へと向かう途中でも騒がれている黄瀬をみて、他のメンバーは呆れるしかなかった。
黄瀬曰く、“ファンの女の子たちは大切にしなきゃならないっスからね!”だそうだ。
だがメンバーが呆れている原因はそれではない。
このあと起こる、既に恒例となった風景についてだ。
「涼太…?」
「由紀っちいいい!!」
昇降口まで来たところでドアからひょこりと顔を覗かせて黄瀬の名前を呼んだ人物。
彼女こそ、黄瀬が最も大切にしている人だった。
「おはようっス!今日の調子はどうっスか?」
「おはよう。大丈夫、涼太の朝練見て元気もらったよ」
由紀と呼ばれた少女は黄瀬の幼なじみ兼恋人で、昔から体が弱い面があった。
そんな彼女が健気に毎日昇降口で黄瀬を待っている理由は、黄瀬のファンからの嫉妬を受けないためだった。
だから、学校では極力会ったり話したりしない。
………と、彼らは言っているが。
「由紀っち、オレ今日も青峰っちに負けちゃった…」
「確かに負けちゃってたけど、涼太キラキラしてたよ?」
「…由紀っちの前ではカッコ良くありたいんスけどね」
「涼太は十分カッコ良かったよ?涼太の輝いてる姿大好きだもん」
「由紀っち…!!」
どこが極力会ったり話したりしないだよ。
毎朝見せられるその光景にもはや誰もそうつっこむ気は起きない。
2人はクラスが違う為、しっかり話すことができるのは朝、昼休み、下校の時だった。
だがそれだけで耐えられる程黄瀬は大人ではなかった。
廊下ですれ違うとアイコンタクトで会話をしだし、由紀のクラスが体育の時は窓側の席を最大に活かして彼女の姿をずっと見ていたりととにかく重症だった。
もちろん、黄瀬のファンも最初は黙っていなかった。
由紀を傷つけて別れさせようとした者もいたが、そのことを由紀自身よりも早く察知した黄瀬がその芽を潰したとか潰さなかったとか…。
それからというもの、その一途な黄瀬の笑顔やらなにやらが可愛いと逆に評判となり、2人を応援するようにまでなったらしい。
「そんな馬鹿な話があるんですね。君は少女漫画の主人公ですか」
「え?」
昼休み。
食堂で集まって食べているときにその話をクラスの女子から聞いたという紫原が隣にいた黒子に話し、黒子はため息をつきながらそう呟いた。
黄瀬の隣にはもちろん由紀の姿があり、毎日彼女が作ってくるお弁当に舌鼓をしながら黄瀬は黒子の発言に首を傾げた。
「涼太、お茶飲む?」
「飲む!」
水筒に入ったお茶を小さなコップに注ぎ、黄瀬に渡す。
そこで由紀の頬に米粒が付いていたことに気づき、彼女の頬にキスをするかのようにその米粒を取った。
「りょ、涼太…!!」
真っ赤になる由紀。
ニヤニヤする黄瀬。
いつの間にか集っていた彼らのファンの黄色い悲鳴も気にせずに青春を続ける2人。
「3倍」
笑顔だが確実にキレてる赤司がおぞましい言葉を呟く。
なにが、を言わなくてもわかるであろう。
黒子は今日の放課後練習でぶっ倒れる黄瀬とそれを心配する由紀を想像してため息をついた。
リア充爆発しろという言葉があるけれど(素敵な単語ですね、リア充爆発しろ)
(テ、テツ…お前こえーぞ)
……………………………
いちゃいちゃできた…かな(泣)
天然イチャコラしそうですよね、黄瀬くんってw
早苗様ありがとうございました!
返品もちろん可ですので、言ってください!
(20121113)
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