いただきます



「むっくーん」

「なにー?」

今は昼食の時間。
おかずを食べながら笑顔で話す紫原と由紀。
その姿はまさに天使である。

2人の様子を一緒に食べながら見ていた赤司以外のキセキの世代は、それぞれ呆れていた。

「…あの席だけふわふわした空気があるのですが」

「まぁ、紫原と由紀だしな」

「誰もあの空気には入れないっスね…」

由紀と紫原は付き合ってはいない。
それは皆が知っていることなのだが、その事実をも疑いたくなるほど2人は常に一緒にいた。

「本当に2人って付き合ってないんスか?」

「ああ。付き合ってはいないな」

黄瀬の疑問に答えながら、遅れて赤司が昼食を持ちながら来た。
彼はバスケ部のキャプテンとして顧問の先生と何かを相談していたらしい。

「あっ、征くん遅いよ!」

「赤ちんお疲れー」

そこで赤司が来たと気づいた2人が赤司に声をかけながら立ち上がって近寄った。
赤司一番な2人が付き合ったとして、赤司に言わない訳がないとその場で判断した黄瀬は、少し不服そうな顔をして小さな声で“付き合っちゃえばいいのに”と言った。
その声が聞こえた緑間はひとつため息をついたあと声を発した。

「由紀も紫原もその辺は疎いからな。それに加えて赤司という絶対的存在がある。あいつらのみで気づくのは不可能なのだよ」

「確かにそうですが、緑間くんがそれを言うとなんか変ですね」

「…黒子ェ」

「じゃあさ、オレ達が手伝っちゃえばいいんじゃないッスか!?」

黄瀬はそう発したあと、未だに赤司にくっついている紫原と由紀に質問しだした。

「紫原っちは由紀っちのこと好きッスか?」

「由紀ちん?好きだよー」

「じゃあ由紀っちは…」

黄瀬が紫原に投げ掛けた質問を由紀にもしようと彼女のほうに向きながら言ったが、その言葉は不自然に止まった。
呆れて食事に戻っていた他のキセキのメンバーもそのことが気になり、黄瀬のほうをみた。

するとそこには、へらりと笑いながら由紀の腕を掴んで引き寄せ、小さい彼女の目線まで腰を下げてその口にキスをする瞬間の彼の姿があった。
さすがの赤司もそれには驚いたらしく、目を見開いていた。

「俺今日誕生日なんだー。由紀ちんちょうだい?」

紫原は大きな体格からは想像もつかないように可愛く笑いながら首をかしげて由紀に訊ねた。
思わぬ出来事に由紀は勿論その場の空気ごと止まっている。
そして少したってから由紀はよくやく現状が理解できたのか、耳まで真っ赤にしながら紫原に抱きついた。

「おめでとうございます」

「テツ冷静すぎるだろ!」

「…これはオレのおかげッスか?オレのせいッスか?」

「黄瀬、今日の練習は覚悟しといたほうがいいのだよ」

「おめでとう、2人とも」

赤司の顔は一瞬にして元の冷静さを取り戻したが、その手にはハサミが握られ、その刃先は黄瀬に向かっていた。
赤司は赤司なりに2人をくっつける計画を立てていたらしい。
それを知っていた黒子に言われ、黄瀬の顔はみるみる青くなっていった。



いただきます



(頼んでおいたーキ、プレートは誕生日おめでとうのままでいいですか?)

(そうだな…黄瀬、もうひとつケーキ買ってこい)

(オレッスか!?)


・・・・・・・・・・・・・
遅れてごめんねむっくん!!
10日にはほぼ書けてたんだがパソコンを触る暇がなくて・・・(泣)

(20121015)

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