・学校

エントランスに飾ってある絵の前に立っている崇(たかし)

崇  「……」

明那祐士(あきなゆうし)、最優秀賞と書かれている
三毛猫が空を見上げている絵

崇M 「俺はこの絵が好きじゃない」



・第一アトリエ前

アトリエの前で焚き火をしている蛯名(えびな)
その前を通る崇

蛯名 「たかしー」
崇  「なんすか」
蛯名 「焼き芋、食う?」

串刺しにした芋を上げる蛯名

崇  「……」

近づいていく崇

蛯名 「ん」

芋を投げる蛯名

崇  「どうも」

アルミホイルを破って芋を出す崇

蛯名 「お前もう授業終わりだろ?」
崇  「いや、今からですよ」
蛯名 「次よっしーだろ」
崇  「はい」
蛯名 「んじゃちょっと抜けて来てよ」
崇  「んー、まぁいいですけど。パシリですか?熱っ…!」
蛯名 「クマちゃん起こしてきて」

崇、動きを止める

蛯名 「とりあえず今日中に」
崇  「また来てないんですか」
蛯名 「うんー。冬眠の季節だからだなー」
崇  「でも俺」
蛯名 「俺じゃなかったらもう留年よーん」
崇  「……」
蛯名 「顔出すだけでも」
崇  「そんなの自業自得でしょ。芋、ありがとうございました」

崇、立ち去る

蛯名 「よろしくねー」

手を振る蛯名

崇  「……」



・明那宅

布団がごそごそ動く
外の階段を上がる音がする
玄関を開けて入ってくる崇
布団を剥ぐ

明那 「うう……寒い…」
崇  「おいクマ。起きやがれ」
明那 「崇…寒い……」
崇  「うるせぇ!お前また起きれなくなってんじゃねぇか!」
明那 「だって、毛布出したら目が覚めなくなって…」
崇  「蛯名がとりあえず顔出せって!」
明那 「蛯名せんせ…?……あぁ…」

のそのそ起き上がる明那

崇  「起きれなくなるんだったら毛布で寝るのやめろよ」
明那 「でもここ寒くって。ストーブつけたままだと危ないし、息苦しくなる…」
崇  「だったら引っ越せよ。余るほど持ってんだろ。こんな壁薄いおんぼろアパートなんか出て行きゃいいじゃねぇか」
明那 「うん。でも、そうしたら崇が起こしに来てくれなくなるじゃん」

明那、服を着替える

崇  「……」
明那 「もう来ないって言ってたのに。来てくれたんだ」
崇  「蛯名に頼まれたんだよ!お前もう留年だって!」
明那 「へぇ……」

明那、何か考える

明那 「そっか」
崇  「はぁ……。やっぱり来るんじゃなかったわ。じゃあな、俺授業あんだよ!」

ドアノブに手をかける崇
その手を取る明那

明那 「待って、もう出れるから。一緒に行こう」
崇  「……五分」

崇、振り返らずに言う
明那、笑う

明那 「歯も磨けない」



・電車

人が少ない電車の中で二人、並んで座っている

明那 「彼女と別れた?」
崇  「いーや。別れてない」
明那 「なーんだ」
崇  「……」



・学校

二人、歩いている

崇M 「明那祐士、通称クマちゃん。冬になると冬眠し始める。小学校からの腐れ縁でもう十五年の付き合いになる。昔から寝起きの悪いこいつを起こしに行っては学校に連れて行くのがいつの間にか俺の役目になっている。だけどそれももうやめた」

エントランスのあの絵をガラス越しに横目に見る崇

崇M 「俺のことが好きだと言うから」



・第一アトリエ前

明那、立ち止まる

明那 「崇、どこ?」
崇  「第三。よっしー」
明那 「ふーん。別に出なくていいじゃん」
崇  「俺の一番好きな授業なんだよ。じゃあな」
明那 「うん」

崇の後姿を見送る明那
少ししてアトリエの中に入る



・第一アトリエ

蛯名、事務室内で煙草を吸っている

蛯名 「おーやっと来たか」
明那 「禁煙だよここ。一本頂戴」
蛯名 「どっちかにしろよ」

笑う蛯名
明那、煙草に火をつける

蛯名 「とりあえず物を出せ。それでいいから」
明那 「うん。わかってるよー。っていうか、ちゃんと来るよ」
蛯名 「お前の言ってることは全然当てになんねぇんだよ」
明那 「来るって」

明那、煙草をふかす

蛯名 「何で言っちゃったの」
明那 「なにが?」
蛯名 「彼女いるの知ってるのに、言わなくたってよかったんじゃない?」
明那 「あー、だねー」
蛯名 「せっかく起こしてくれてたのに」
明那 「好きなんだもん。仕方ないじゃない」
蛯名 「俺にはできんわ」
明那 「僕だってびっくりしたよ。自分自身に……」

煙草を灰皿に押し付ける明那

明那 「外行ってくる」
蛯名 「あー」



・学校

第三アトリエの下の木にもたれかかってスケッチを取る明那
友達A、Bが来る

友達A「あっきなちゃーん」
友達B「おぉ!クマちゃん久しぶりー」
明那 「久しぶりー」
友達B「今回の冬眠長かったね」

笑う友達B

明那 「だねー。目が覚めなかったから」
友達B「ホントにクマみたいじゃん!あ、そうだ」

鞄を探る友達B

明那 「?」
友達B「これ!」

クマのついたゴムを出す友達B

明那 「あ、可愛いー」
友達B「課題終わって暇だから作ってたんだー。クマちゃんたまに前髪結んでるじゃん?よかったら使ってー」
明那 「わー、ありがとう」

明那、受け取ると前髪を結ぶ

友達A「はははっ!似合う似合う」
友達B「暇つぶしにしては上出来だなぁ」
明那 「はははっ」
友達A「おっと、もう始まるわ!んじゃな明那ちゃん」
友達B「またねー」
明那 「ばいばい」

手を振る明那
二人がいなくなり、風が吹く
明那の前髪が揺れる
第三アトリエの窓を見上げると
窓際に崇がいる

明那 「たかしー」
崇  「なに」
明那 「見てー。可愛いだろ?」
崇  「クマがクマつけててどうすんだよ」
明那 「はははっ」

明那が見上げている姿を見て黙る崇



・明那宅(回想)

階段を上がる音の後に扉が開く
崇、布団を剥ぐ
枕に顔を埋めている明那

崇  「おい!明那!起きろ!」
明那 「んー?……今日学校行かなくていいんだけど……」
崇  「お前の絵!最優秀賞だって!」
明那 「……うそー…」
崇  「ほんと!起きろって!」

枕を持ったままベッドに座る明那

崇  「よかったな!おめでとう!」
明那 「うん……ありがとう……」
崇  「まだ寝てんのかよ!」
明那 「別に賞なんか……」
崇  「うわー…取りなれてる奴の言う事は違うね…」
明那 「んー……あ、じゃあなんかお祝いしてよ…」
崇  「うん、別にいいけど。何?飯?」
明那 「……」
崇  「なに」
明那 「何でも言う事聞いてくれる?」
崇  「無理なことじゃなければ」
明那 「うーん……」
崇  「なんだよ!金ならお前の方が持ってんだろ」
明那 「…」
崇  「?」
明那 「あの声の裏返った彼女と別れて僕と付き合って」
崇  「…………は?」
明那 「崇のこと好き」
崇  「………冗談はよせよ。はははっ」
明那 「冗談じゃないよ。僕ずっと前から崇のこと好きだったよ」
崇  「……」
明那 「あの絵。あれは僕だ。崇のこと見てる僕」
崇  「…」
明那 「ほんとはずっと前から気づいてたくせに」
崇  「っ……」
明那 「崇」

指に触れようとする明那

崇  「っ!やめろよ!そういうこと言うの!……俺達男同士だぞ。そんなのあるわけないじゃん」
明那 「……」
崇  「俺お前のことそういう風になんか……思えない…」
明那 「…」

明那、微笑む

崇  「……」

それを見て立ち上がり、出て行こうとする崇

崇  「もう…起こしにこないから」
明那 「……」
崇  「ちゃんと学校来いよ」

出て行く崇
明那、しばらくして布団にもぐりこむ

明那 (あぁいうこと言っちゃうんだもんなぁ……。ほんと残酷…)



・学校

下から見上げて笑っている明那
崇、悲しげに笑い返す



・電車

一人で座っている崇

崇M 「あいつの気持ちはもうとっくに知ってた。確実にじゃないけど、それでもなんとなくは気がついていた」



・街

誰かを待っている崇

崇M 「彼女が出来たと言うたびに、悲しそうに祝福してくれるのも、紹介するたびに、口数が少なくなるのも。全部わかっててやってた」

彼女が来る
手を振る崇

崇M 「いつか昔みたいにただの友達に戻れると思いながら、繰り返してきたのに。明那は俺に言ってしまった」

手をつないで歩いていく二人

崇M 「もう引き返せなくなって、悲しくなった」



・第三アトリエ

崇、彫刻を彫っている

吉田 「篠田(しのだ)くーん。その海老。ちょーっと彫りすぎだねー」
崇  「え?あ…」
吉田 「いいけどねー。力強くてねー」
崇  「あー……ですね…」

崇、彫刻刀を机に置き頭を抱えてため息をつく

崇M 「十五年続けてきたことは、どうにも癖になってしまっている。もう行かないと決めたのに、あいつがちゃんと起きれてるのかどうか気になってしまう。明那はあの後も、普通に接してくるのに、それが俺には出来ない」

崇、髪をバリバリ掻く

崇M 「答えてやれないのに、どうして普通に接することができる?それこそ残酷なことしてるようなもんじゃないか。いっそのこと、もう離れてしまえばいいんじゃないか」

窓の外を見る崇

崇M 「何も出来ずにふらふら迷って、悩んで。馬鹿みたいだ」



・第一アトリエ

夜、事務室の扉を開ける崇

崇  「蛯名……」

蛯名と明那が向かい合っている

崇  「あ、ごめん。これ、返しに来ただけだから」

本を棚に置いて出て行く崇

明那 「……」
蛯名 「追いかけないの?」
明那 「追いかけたらどうにかなるの?」
蛯名 「さぁ」
明那 「…」
蛯名 「俺は追いかけて欲しいけどね」
明那 「…」
蛯名 「俺、お前のそういうとこ好きじゃないなぁ」
明那 「僕も」



・学校

もう誰もいない道を歩いている崇

崇  (キス……してたよな……蛯名も…だったのか…)

崇、バス停の前で手に息を吹きかけると目の前が白くなる

崇  (関係ない。関係ない。俺には関係ない)
崇  「関係……ねぇ…よ…」



・第一アトリエ前

煙草を吸っている蛯名
前を通り過ぎる崇

蛯名 「おーい、たかしくーん」
崇  「なんすか」
蛯名 「俺の力も、もう及ばない範囲になってきたわけだよ」
崇  「はぁ?」
蛯名 「クマの冬眠。いや…もしかしたら死んでるかもな」
崇  「……あんたが起こしに行けばいいでしょ」
蛯名 「なんで俺が」

蛯名、鼻で笑う

崇  「酷い男ですね」
蛯名 「ただの教師よ。俺。なんでそこまでしなきゃなんないの」
崇  「……」
蛯名 「まっ、いいんだけどね。たかが留年だもん」
崇  「……」

崇、歩き出す

蛯名 「毛布の国だってさー」

崇、振り返らずに歩く



・明那宅

布団が盛り上がっている
電話が鳴っている

明那 「…」

留守電になる

崇  『俺だけど、蛯名がもうやばいって言ってたから…ちゃんと学校行けよ』
明那 「だったら起こしに来てよ…」
崇  『…鍵……ちゃんと閉めとけよ』

切れる

明那 「……そんなこと…できたらとっくにやってるっつーの……」

明那、涙を流す



・第三アトリエ

板に下書きをする崇

吉田 「あれー、篠田くん、海老やめちゃったの?」
崇  「あ、はい。なんか取り返しつかなくなっちゃって」
吉田 「そうかー。あれ僕好きだったけどねぇ。力強くてね」
崇  「そうですか…」
吉田 「うんー。でも今度のもよさそうだねー。木」
崇  「あー、この下の」
吉田 「いいねぇ。あそこの木大きいからねぇ。また力強いの、期待してるよー」
崇  「はい」
吉田 「そういえば、よく木の下でスケッチしてた彼は最近見ないね」
崇  「あー……そうですね…」
吉田 「明那くんだったかな。賞いっぱい取ってる子ね」
崇  「はい」
吉田 「僕の水彩画の授業も取ってるんだけどねー。最近そっちも来ないねぇ」
崇  「そろそろ危ないんですか」
吉田 「はははっ、まぁ僕は作品さえ出してくれればいいんだけどね」
崇  「そうですか……」
吉田 「でもお仕事持ってるからねぇ。あの子。はははっ」
崇  「……」

木を眺める崇



・崇宅

ソファに彼女と二人で座り、テレビを見ている

彼女 「ねぇ、由香(ゆか)、覚えてる?あたしの同級の」
崇  「んー、あぁ、鼻の横にホクロある子?」
彼女 「そうそう。あの子ねー、今一人暮らししててさ、すっごい貧乏なの」
崇  「へぇ」
彼女 「それで、電気もガスも止められたらしくて、一週間くらい毛布とかで凌いでたらしいんだけど」
崇  「……うん」
彼女 「雪降った日にね、意識飛んじゃったらしくって!」
崇  「うん」
彼女 「ホントに偶然来た友達がそれ気づいてくれて、病院に運ばれて助かったんだってー!やばくない!?」
崇  「うん」
彼女 「……あれ?そんなに興味なかった?」
崇  「え?あ、いや、そんなことないよ!こんな都会で若いのに凍死とか怖いじゃん」
彼女 「だよねー!やっぱ壁薄いと寒さもやばいらしいよ。それで夏はすっごい暑いんだって」
崇  「だろうね」



・明那宅

勢い良く扉を開ける崇
毛布に包まって眠っている明那

崇  「おい!明那!起きろ!おい!」
明那 「……」
崇  「明那!」

毛布を剥いでみると明那、青白い顔で目を閉じている

崇  「明那…?」
明那 「…」
崇  「嘘だろ……明那!起きろよ!明那!」

崇、明那の肩を掴むと酷く冷たい

崇  「明那!」

だらんとベッドから落ちる明那の腕
息をしていない

崇  「冗談だろ!明那!起きろ!」



・崇宅

崇  「明那!」

飛び起きる崇

崇  「はぁっ…はぁ……なん…だ…」

額を押さえる

崇  「夢かよ……」

汗をかいている

崇  「くそっ!」

ベッドを殴る

崇  「なんで……」



・明那宅前

明那の部屋の窓が開いている
その下に立っている崇
明那、毛布に包まりながら夜空を見上げている

崇  「……」



・明那宅

夜空を見上げている明那
息を吐くと目の前が白くなる
ふと下に人がいるのに気がつく

明那 「崇……」

しばらく互いを見ている二人
崇、不意に階段の方へ行く

明那 「……」

階段を上る音が聞こえてきてはっとし、
玄関に走っていく明那
扉が開くと同時に閉めようとするが
崇が足を挟んで阻止する

崇  「なんで閉めるんだよ!」
明那 「鍵閉めるの忘れてたの!」
崇  「いいから開けろ!」
明那 「嫌だ!」

崇、力いっぱい引っ張って扉を開ける
負けた明那、急いでベッドに戻り
毛布をかぶる
崇、ベッドの傍に行く

崇  「どうしてまた潜るんだよ」

毛布を剥ごうと手をかける崇

明那 「触るな!」

驚いて手を離す

崇  「なんだよ」
明那 「触らないで……」
崇  「……」
明那 「僕のこと、好きじゃないなら触らないで」
崇  「……」
明那 「どうして来たんだよ…」
崇  「…」
明那 「こんなに長く僕のこと放っておいたくせに…どうして今更来るんだよ……せっかく、忘れようとしてたのに…」
崇  「……」
明那 「崇はいつもそうだ…」
崇  「え…?」
明那 「僕のこと、突き放そうとするのに…どっかで離れようとしないじゃないか…。僕の気持ち分かってて…そんなことするんだもん…酷いんだよ…本当に嫌なら…もう……」
崇  「……」
明那 「…ぅ…っ……」

明那、泣いている

崇  「友達だからだろ」
明那 「…っぅ……」
崇  「友達の心配しちゃいけないのかよ!お前が勝手に俺のこと好きだとか言うから悪いんじゃねぇか!そんなこと言わなかったら……今まで通り…友達でいられたのに…」
明那 「僕は…」

明那、毛布から出て泣きながらベッドに座る

明那 「僕は友達なんかじゃ嫌だ…」
崇  「明那」
明那 「どうして僕じゃいけないの、なんで男同士じゃだめなの…」
崇  「そんなの……」
明那 「どうして僕は女じゃないんだ…」

明那、俯いて涙を落とす

崇  「明那…お前だって分かってんだろ。頼むから、そんなこと言うなよ…」
明那 「崇……彼女が好き…?」

明那、両手で涙を拭きながら聞く

崇  「あぁ」
明那 「僕はただの友達…?」
崇  「あぁ…」
明那 「僕が…女だったら…好きになってくれた…?」
崇  「…あぁ…」

崇、涙を流し、頷く

明那 「ぅっ…ぅぅ……た、かし」
崇  「……」

明那、涙を拭いて堪えながら崇を見る

明那 「お願い。もう何も望まない。何も迷惑かけない。一人でちゃんと起きる。学校にも必ず行く。もう、声をかけなくていいから……」
崇  「……」
明那 「最後に、一度だけ……キスしていい…?」

明那、堪えていた涙を一筋流す

崇  「え……」
明那 「お願い……無かったことにしていいから…」
崇  「……」

崇M 「もう声をかけなくていいと言われて、俺は心臓を鷲掴みにされ握りつぶされる感覚を覚えた。言葉に表せない、その感情が、ふつふつと、沸いてくる」

明那、崇の頬にそっと触れて、キスをする

崇M 「こいつの最後は、もう本当に他人になるという意味なんだと理解した時、受け止めきれないほどの思いを感じた。どうして俺なんかの為に涙を流すのか、まったく、分からない。目をぎゅっと閉じて、震える唇をただ押し付けるだけのキス」

唇が離れると同時に崇、家を飛び出す

崇M 「自分の感情が怖くてただ逃げることしかできなかった」



・崇宅

ソファでキスをしている崇と彼女

崇M 「それから明那の顔が頭から離れなくて、いつどこにいても、何をしていても、あいつの顔がついて周る」

崇M 「泣きながら、目を閉じて、震えている、明那」

崇M 「俺はどうかしてしまったんだ」

彼女 「…崇?」
崇  「ぅ…っ……」
彼女 「ちょっと…なんで泣いてんの…?」
崇  「…ぅっ……ごめ……」
彼女 「はぁ…わけわかんない……」
崇  「…ごめん……っ…」



・街

早朝、崇、走っている

崇M 「あの絵が俺は好きじゃない。あれは僕だと言うから」

絵の猫と、夜空を見上げる明那が重なる

崇M 「だけど十五年間の時間を消せるのかと言われても俺は絶対に出来ないと思う。最初から、嫌だったらもうとっくの昔にやめてたはずだ」



・明那宅前

階段を駆け上がる崇

崇M 「思い込ませようと必死になってるのかもしれない。もう自分自身がよく分からなくなってる。でも、それでも、明那と他人になんか戻れることはないんだ」

明那の家のドアの前に立っている

崇M 「いつものように、毛布を剥いで、一言言ってやればいい」

ドアノブに手をかける



・学校

木の下で風に吹かれる明那





おわり



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