時々、本当に時々だけれど。 どうしようもなく不安定になる。 「クロロー、」 約束の時間になってもなかなか現れないクロロを探して歩いていると、彼は広間にいた。クロロが何かの資料を持ってパクノダに話しかけている。もう一度かけると、待ってろ、手で制止され、大人しくテーブルに向かった。 『…マチ、クロロ達なに話してんの?』 「つぎの宝石展について。珍しい宝石がくるから狙うんだってさ」 ふうん、と簡単に返事をして、マチの隣に腰をおろす。背中の向こうには、二人がいる。よく考えればここ最近、クロロとパクノダが話しているところをよく見かける。今まで別に気にもならなかったが、こうも頻繁にふたりの場面をみると嫌になる。仕事だから仕方がないとわかっていても、受け入れがたい。 ふたりの方に視線をむければ、クロロもパクノダも楽しそうに笑っていた。 『今度の仕事大変そうだね』 棒読みになってないか不安だった。けれどその心配はないようだ。そうだね、と笑いながら相槌をうってくれている。私もうっすらと微笑みながら言ってみるが、なかなかうまく笑えない。私もまだまだだな、とひとりで苦笑いした。 「…アンナ、」 『なに?』 「なんかあった?」 『なんにもないよ』 えへへ、と笑うとマチはなにか気にかけたように頭を撫でてきた。マチの勘は鋭い。もしかしたらもう気付いてるのかもしれない。 ×
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