白翼長編 | ナノ







服も家具も新調しなきゃね、とはしゃぐキキョウを宥めたイルミと街へきた。キキョウが家具を選べば、カンナの部屋がメルヘンの世界から飛び出してきたようなものに成りかねない。家具は白を基調としたものを揃え、今は服屋で物色している最中だった。





『そういえばキルは?』

「ミルキと母さんを刺してでてったよ。そのうち戻ってくる。あ、この服いいね」




躊躇いなくどんどん服を買っていくイルミとは裏腹に、カンナは浮かない顔で手にとった服をぼんやりと見ていた。キルアは殺しに明け暮れる日々にうんざりしていていたたし、仕方なかったのかもしれない。

けれど、家出した自分が言うのもなんだが、家に帰って家族の一人がいないなんて、なんだか寂しい気持ちがした。




「…カンナ、?」

『…あ、ごめん。なんだかちょっと疲れたみたい』

「そっか…。小腹も空いてきたし、休憩がてら喫茶店にでも入ろうか」




イルミは優しくカンナの頭を撫でて、定員を呼ぶ。カードで一括払いすると大量の服を家に送るように指示した。そしてカンナの手を取ると喫茶店に案内する。

久しぶりに来た町の風景は少しだけ変わっているように見えた。あった筈の店がなくなっていたり、空き地だった場所に新しい建物が立っていたり。短い期間なのにこんなにも変わるものなのか、と手をひかれながらそんな事を考えていた。




(1/3)
[]

×