退 屈 し の ぎ 五年間の代償 今まで感情を持たなかった彼女は団員の前では強がって無表情を貫いている。しかし心から溢れる悲しみや戸惑いをねじ伏せる事は不可能だ。 一人になれば毎晩のように彼女は声を押し殺して涙を流している事をクロロとパクノダは知っていた。口には出さない。アンナは睡眠時間を削ってでも気を紛らわす為に念に没頭している。自己解決しようとしているのだろう。 「飯も食え」 『お腹すいてない』 「毎晩、ちゃんと眠れているか?」 用意した食事はろくに取ろうとしない。少なくとも此処に来てからは夜にスープを少量摂取するだけだろう。細い身体は一層痩せ、肌もより青白くなった。 「無理、するな」 他人と同じ食卓に付く気不味さと、食べたくても胃が受け付けず溢れる嘔吐感。それから逃げる為に私は食事を拒絶する。思いとは無関係に、日に日に食は細くなっていた。 |