月 の 記 憶 其れは儚く去れど可憐 満月は太陽よりも近い位置から何処にいても全てを見てるんだ (きっとあの日の慈善もあの時も悪事も、お月様だけは全てを笑顔で見通しているんだ) とうに昼食の時間は過ぎた頃、朝から姿を見せなかったアンナが廊下を歩いていた 「また訓練か?」 最近毎日、寝る間も惜しむどころか食事も食べずにずっと念の訓練をしている。ウボォーギンのビッグバンインパクトによって作られた溜池。そこの近くにいけば肌にピリピリと感じる程のオーラを練っているようだ 「晩飯の後、屋上に来い」 『……?』 それだけ告げてスタスタと自室へ戻ろうとするクロロに文句も言えないままのアンナ 「今日は寒いからな、多めに着込んで来いよ」 今日は出掛けるのか。彼は仕事スタイルでオールバックにしていた。面倒だと思いながらも呼ばれたからには行かないと行けない(後で何言われるかわからないし)呆れた様子でアンナは小さく溜め息を吐く 『……練習かな?』 肩に掛けていたタオルを手に取り髪から肌に伝った汗を拭く。今日はオーラ使い過ぎた、と若干フラつく身体でアンナも自室へ戻る。パクノダが昼食を置いてくれてたのだろう、自分の部屋の扉の前に置いてある布の掛かった食器を無視して |