貴方の 2 | ナノ




あしたのつぎのひ
あさひはのぼるかな?






「フィンクスいるか?」

『あ、ちょうどいま屋上に行ったよ。たぶん、フェイタンくんを探してたから』

「・・・入れ違いね」




ふう、とため息をついてから、なぜかじっと、こちらを見つめる彼。視線に耐え切れなくなって、思わずふにゃりとだらしなく、口を歪めてしまった。




『……?』

「よかたな」

『え?』

「フィンクス鈍感ね。またく女心わかてないから」




何のことを言っているのか、わからなかった。フィンクスは、フェイタンくんに私のことについて何か言ったのだろうか。

中学の頃からフィンクスとフェイタンは仲良くなったけれど、私がフェイタンくんと話すのは今日が初めてだ。なぜだか、嫌な気はしない。




『あ、ありがとう』

「……変なヤツ」

『……あ、ご、ごめんね』




ガラガラ、と少し荒っぽく扉が開いた。力が入りすぎていたのか、最後にガン、と大きく音を立てる。




「あ、フェイ!おめえ教室にいたのかよ。……って、お前らなに話してんだよ」




大声でフェイタンくんに対して声を挙げた途端に、私とフェイタンくんを交互に見て、嫌に低い声に変わる。

ふう、とまたため息をついたフェイタンくんは、やれやれ、とでもいうように、どういうかけか私に軽く視線を向けた後、またフィンクスの方を見る。

するとまたフィンクスは怒ったように眉間にシワを寄せ、フェイタンくんを睨む。




「別に、たまたまね」

「あ?隠すんじゃねー」

「ほら、早くいくよ」

「おい待てよ。・・・ったく、、アンナ!」

『あ、は、はいっ!』

「今日の夜、またメールすっから」

『う・・、うん』




風のように、フィンクスはフェイタンくんの背中を追いかけていく。廊下から教室まで響いた彼の足音は少しずつ小さくなっていった。




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