貴方の 2 | ナノ




きらきら、
あなたが太陽なら、わたしは月になりたい。そうすれば、離れていたって、私はあなたの輝きに照らされ続けるのに、






「なんて顔してんだよ」




両頬を掴まれ、きつく摘まれる。眉間にシワをよせたフィンクスが、機嫌悪そうに、ふう、と大きくため息をつく。

少し瞼をふせて、今度は辛そうにこちらを見つめてきた。




「ーーー、オレだけか?」

『?』

「付き合ってる、って思ってたのはオレだけか?」

『え…、』




ドキン、と心臓が大きく跳ねた。




『う、うれしいよ!』




頬を掴んでいるフィンクスの腕を引き剥がし、慌ててそう訴える。




『わたし、てっきり、あの、フィンクスが多分って言ったから、わたし、えっと。付き合ってる、って、ちゃんと、言ってくれて、う、うれしい…!』

「ばかアンナ」

『!』




意外な組み合わせ、っていわれたことも。ウワサになってるよ、っていわれたことも。もうどうでも良くて。

胸を張って、私はフィンクスと付き合っているんだと、言ってもいいんだ。自信を持って、スキだ、と思ってもいいのだ、と。




「改めてよろしくな、」

『こ、こちらこそ』




こつん、と頭に軽いゲンコツがふる。




「オレの彼女なんだから、あんま変な奴を寄り付かせんじゃねーぞ」

『う、うん』

「あと、遠慮すんなよ」




ぐしゃぐしゃ、と頭をかかれながら、涙腺がどんどんゆるんでいくのがわかる。




『………ぁ、』

「おいおい、泣くなよ」

『……ご、…ごめ…、でも、な、んか、…混乱し、て、』

「ばか、」




フィンクスの大きな手が頬を包むように撫でて、涙を拭いてくれる。大きくて、ゴツゴツしていて、あったかくて、安心する。




『フィンクス、すきだよ』

「……!」




ぐすん、と鼻をすすって、そう言えば、フィンクスは真っ赤な顔をして頭を掻き、帰るぞ、とぷいっとそっぽを向いて歩きだした。



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -