貴方の 2 | ナノ






「ほら、」

『?』

「おめー、誕生日だろ」




小さな小瓶の中は、キラキラと輝くガラスの砂が入っていて。その砂の中に、キレイな星や月が埋まっている。



『…わあ、きれぇ、』




手の中で転がせば、その中はまるで小さな宇宙のようで。




『おほしさまが入ってるみたいに、キラキラしてる』




光に輝くそれの光が、手のひらにオーロラを作るように照らした。ありがとう、ありがとう、と何度も言えば、フィンクスはその度に照れたように頬を掻いた。




たんじょうびにほしいもの
あなたをひとつぶ






「まだ見てんのかよ」

『だって、ほんとにキレイなんだもん。ありがとね』

「おう、そろそろ帰っか?」

『あ、まって、すぐに片付けるからっ、』

「慌てなくていい」

『あわわわわっ』

「・・・っと、言わんこっちゃねーな」




バサバサと鞄から落ちる教科書とノート。一つ一つ拾ってくれるフィンクスは、まるでお母さんのようで少し笑えてくる。




「ーーーフィンクス」

『…!』

「あ?」




思わず、肩が跳ねた。フィンクスは声の方向に顔を向けたけれど、私は振り向くことができずに、教科書を入れる手を止める。




「あ、じゃないわよ。アンタ、昨日のこと忘れたの?」




ーーー昨日のこと?
昨日も会ってたの?

もやもや、ぐるぐる、お腹の中に嫌な感情がわいてくる。疑っているわけじゃない。フィンクスのことは信じてる。

ただ、フィンクスはいままで、昔っから、女の子と話すことはあんまりなかった。クラスメイトの女の子とも、なにか用事がないと話さないのに。あんなに親しげに話して。




「わりぃ、先帰っててくれ」

『…ぁ、…う、うん』




ーーー誕生日なのに、もらったプレゼントの感想、もっと言いたかったのに。




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -