- (と)時が過ぎるのは早いねと
あの頃の私は周囲の心遣いにも気付けないほど鈍感で、友人たちより体がふくよかだとか、髪の色が黒すぎるとか、そんな見た目のことばかりにこだわっては毎日ため息を零していた。 それが今では、痩せようとしなくても食が細くなったせいで太りはしないし、黒かった髪も万年茶色に染め上げている。 それですべてがうまく進むようになったかといえばもちろんノーなのだけれど、少なくともあの頃の自分の要求には応えられていると思えば、まぁなんとか満足していられるのかもしれない。 一つ超えれば、一つ足りないものが見つかる。 外見の心配が減りはじめたら、次は幼なすぎる内面が気になって仕方なくなった。 あの優しさに気付けない私、あそこで気を遣えない私。 自分への要求はいつになっても絶えることがなく、けれどそれが大人になるということなのかもしれないと思ったりもする。
[ 永久に眠れ ] 6th,May,2011 BACK
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