- (さ)醒めない夢
普段消さない豆電球を消してみる。 夜の闇は想像よりも優しくて、どこかから漏れてくるあかりがひっそりと窓の隙間から訪れた。 願って作る昼間の闇はカーテンの裾から零れる光ですら恐ろしいのに、夜がこんなにも穏やかなのはなぜだろう。 まぶたを閉じなくても夢の中のようだ。 現実がこんなにも優しいことにもっと早く気付けていたのなら、日の光を怖れて眠りにつくこともなかった。 ぼんやりとそそぐ光の糸を紡ぎながら、静かに夢の中へと誘われていく。 目が覚めたら今度は光の下で。
[ キスの甘さ ] 3rd,May,2011 BACK
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