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2014/06/12



フォロワーさんのお誕生日記念小説なので死ぬほど甘くしてみました。
おめでとうございます!




いつからだろう、「お邪魔します」が「ただいま」になったのは。
コップは戸棚の右側、お鍋はシンクの下、もう私の知らない場所はないくらい、慣れ親しんだキッチン。
野菜を洗ったり皮を剥くのは私、具材を切るのは火神くん、煮込むのは私、 盛り付けるのは火神くん。
自然と決まった役割に沿って、野菜やお肉たちが美味しそうな姿へと変わっていく。
二人にはちょっと広いテーブルいっぱいに料理を並べて、向かい合わせでいただきます。
頬っぺ一杯にご飯を詰め込む火神くんがあまりに可愛らしくて、私の頬は彼とは反対に緩みっぱなし。
いつもそれを火神くんがからかうから、慌てて私も口にご飯を突っ込むの。
そんないつも通りの週末。
この家で一緒に食事をする度に、新しい火神くんを知っていく。
火神くんも私のこと、少しは知ってくれたかな。
ねぇ、私は火神くんとこうやって過ごす時間が一番楽しいんだ。
もし、火神くんもそう思ってくれてたらって考えたら、すごく嬉しいなって思ったの。
この時間を終わらせたくないなって思ってくれてたら、それは、本当に嬉しくて、泣けちゃうくらい幸せだなって思うんだ。
けど私はわがままだから、もっと欲してしまう。
今だって信じられないくらい幸せなのに。
もし火神くんも同じ気持ちだったらって、欲張りになってしまう。
こんなこと言ったら火神くん呆れてしまうかもしれない、けど私は火神くんが好きだから。
一番好きだから、もっと近くに居て欲しいの。
だから、だからね。
火神くん、好きです。
私を、火神くんの彼女にして下さい。

「……待て」
涙が溢れないように顔を上げたら、何故か火神くんまで私と同じような顔をしていた。
「火神くん」
「バーカ、なんでそういつも先走るんだよ」
彼の大きな手が私の頭をすっぽりと包んで、乱暴に髪の毛をぐしゃぐしゃと掻き分ける。
その手付きがいつもと変わらなくて、私は安心してほろっと涙が出てしまった。
「あーあ、格好悪いな俺」
私を胸元へと抱き寄せて、親指で私の涙を拭いながら火神くんはそうため息をついた。
「か、火神くんは格好良いよ!」
思わずそう声を荒げると火神くんは良くねぇよと苦笑いで答える。
「言いたいことは先に言われちまうし、泣かせちまうし、彼氏として最低じゃねーか」
そんなことないと首を振って彼にしがみつく。
格好悪くたって、私には最高の人、一番の人。
「こんな彼氏でも良いか?」
「……私は、こんな彼氏が良い」
「そっか」
火神くんはニカッと笑って、じゃあこれだけ言わせてなと私の目の前で片膝をついた。
「か、火神くん、」
突然のことに焦る私の手を掴んで、甲に口付ける。
「好きだ」
その三文字を聞いた瞬間、胸がぶわって熱くなって、苦しくなって、今までで一番、幸せで涙がまた溢れた。
「はい……!」
思わず彼に倒れこむように抱き付いて、二人して床にダイブした。
「っおい!危ないだろ!」
「好き、火神くん好きぃ!」
「はいはい俺もだよ」
呆れながらも抱きしめ返してくれたその腕が少し強くて痛いのが、また幸せだった。

アイラブユーを数えよう
(じゃあまずは手始めに一緒に住むか!)
(ええっ!?はい!!)



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