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2014/03/15



成人パロで3人で同棲設定




ふわりと柔らかなそれはどこまでも肌に馴染んで身体全部をすっぽり包みこんでいつまでも夢中になれるのに、非情にもあっさりとさよならを告げて俺の元から飛び立っていく。
「真ァ波!!いつまで寝てんだ!!!」
「んむ、荒北さん寒い〜」
「もう昼だっつーの!さっさと起きろ!」
荒北さんの手によって奪い去られた布団をとうとう取り戻すことは出来ずに、敗北した俺はベッドという天国から抜け出す。
「おはよう真波」
リビングに顔を出すとエプロン姿の東堂さんがキッチンから飛び出てきたのをふやけた視界が映した。
「ふあ……おはよー東堂さん」
「よく眠れたか?」
「よく眠りすぎなんだっつーの」
後ろから荒北さんにぐしゃぐしゃと頭をかき混ぜられる。
「はは、寝癖がさらにひどくなったぞ真波。はやく顔を洗って直してこい」
「はーい」
休みの日は決まって東堂さんがお昼ご飯を作ってくれるのを思い出し、俺は急いで洗面台へ向かう。
荒北さんの選んだ歯磨き粉はちょっぴり辛くて苦手だけど、三人別々のだなんて贅沢は言えない社会人成り立て2人と大学生1人の3人暮らしだ。
なかなか直らない寝癖をもういいやって投げ出してリビングへ戻る。
「今日のご飯何ー?」
「焼きそばだ」
「えー?」
「そう不満を言うな、冷蔵庫に物が無かったのだ。今日買い出しに行く。真波の好きなものを作ってやるぞ」
「本当?俺カレーがいいな!」
「荒北は何が良い?」
「肉が入ってりゃ何でも」
「じゃあポークカレーで良いか」
「やった!」
夕飯のメニューに胸踊りつつ、まずは目の前の焼きそばを平らげねばとテーブルに腰掛けようとすると荒北さんの手が俺の肩を掴んだ。
「真波、髪の毛やってやるからこっち来い」
と言われたときにはもう引っ張られてソファーに座らされてたんだけど、嫌じゃないから俺は荒北さんにされるがままだ。
「たっく寝癖くらいちゃんと直せよ」
文句をダラダラ流す癖に荒北さんの指はいつだって優しく俺に触れるから、俺はいつも洗面台の前で格闘するのをやめてしまうから、荒北さんが悪いんだと思う。
けどそんなこと言うときっと怒られるから大人しく心地よい指の感覚に浸る。
「せっかく綺麗な髪なんだからちゃんとしろヨ」
「んー、手入れとか俺よく分かんないし」
「大事にしろよ、俺はお前の髪も好きなんだから」
荒北さんからするりと出た言葉に思わず顔が熱くなる。
荒北さんは俺の背後に居るし、気付いてないと思うけど。
せめて赤くなっているだろう首筋に気付かないで欲しいと祈る。
(そうやっていきなり素直になるのやめてくれないかな……)
一緒に暮らし始めて、荒北さんは正直な気持ちを口にすることが多くなったと思う。
俺も東堂さんも基本的に素直に言葉にするタイプだから感化されたのかもしれないけど、こんな風に褒められたらこっちの心臓が持ちそうにない。
「荒北は真波の世話を焼くのが好きだな」
食事の準備も完璧で暇を持て余した東堂さんが俺の隣りへとやってくる。
さっきの光景を見ていたらしく東堂さんは口元を緩ませながら俺の頬っぺたを撫でた。
「と、東堂さん」
「ふふ、真波は可愛いからな。世話を焼きたくなるのも分かるぞ」
「ンだよ、オメェも寝癖直してもらいてぇワケ?」
「遠慮しておこう、俺がこのパーフェクトな髪型を作り上げるのに毎朝手間暇かけて」
「つか洗面台独り占めすんのやめろよ迷惑だからァ」
「何だと荒北この苦労が分からんのかサラサラヘアーめ!!」
「それ貶してるのか褒めてるのかわかんないよ東堂さん」
そうこうしてるうちに俺の寝癖はすっかり綺麗に抑えられ、いつも通りアンテナが一本立っていた。
「ありがとう荒北さん」
「別にィ?さっさと食おうぜ」
「まったくお前らがモタモタしてるから焼きそばが冷めてしまったではないか」
「いいんじゃなァい?冷めててもオメェの飯美味えし」
多分、無意識だったんだと思う。
荒北さんの言葉に東堂さんがピタリと動きを止めて、ぐっと口をへの字に下げる。
まるで不機嫌みたいな顔をしてるけど、さっきの俺みたいに頬っぺたが赤くなってるから照れてるのが丸わかりだ。
当の荒北さんは自分の言ったことなんて気にしてないみたいでさっさと席に着いてしまう。
「……狡い人だなぁ」
「まったくだ!」
独り言のつもりで溢した言葉に東堂さんが叫ぶように応える。
東堂さんは照れると少し可愛くなる。
プンプンと湯気が出るみたいに怒って、熱くなった身体を冷まそうと動き回るのだ。
「可愛いね、東堂さん」
思わず、俺も口に出してしまった。
すると東堂さんはますます顔を赤くしてもういい!と叫んで。うーうーと唸った。
荒北さんの気持ちが少し分かったかも、なんて。
まったく2人ともこちらの気も知らないでとぶつくさ言いながら東堂さんもテーブルに向かうので、俺もいつもと同じ、荒北さんの隣りで東堂さんの向かいの席につく。
「今日の夜は覚悟することだな真波……」
「え!?」
「あー休みだしな」
「荒北さんも!?」
「ハハ!ならばしっかり食べねばならんな!よし!」
「ねぇ本気?本気なの?」
「ハイハイまずは腹ごしらえネ」
照れやすい東堂さんと、ちょっと素直になった荒北さんと、寝癖がばっちり直った俺。3人で手を合わせる。
さあ今日も一緒に、

いただきます
(買い出しは早めに済まさねばならんな!)
(だな)
(本気だぁ……)



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