えっと、あと買うものあったっけ。
両手で持っていた袋を左手にまとめて右手をポケットに突っ込んだ。たしか、ここにメモをいれておいたはず。人差し指と中指でジーンズのポケットを漁るとくしゃりと中で紙が潰れた。あったあった、なんとか身をよじって引っ張り出すとそこにはすでに買ったものの名前が書いてある。なんだ、これで全部か。案外はやく終わったなぁ。
メモをポケットに戻したついでに時計を見るとまだ家を出て一時間も経っていなかった。無駄に張り切ったからってのもあるんだろうけど、それでも予想していたよりもずっとはやい。はやく終わるのはいいことなんだけどこうもあっさり終わってしまうと、なんともなんとも。




「なんか買うもんないかなー」



さっき見たスペースにもう一度足を運ぶ。野菜とか肉はこれ以上いらないだろうし、でもお菓子買ってってもなぁこないだ買ったのまだ残ってたから……うーん、酒でも買うか?いやいやそれは先週少し控えてっていわれたからダメだ。怒られる。
こうやって考えると案外買うもんってのはないんだなぁ。他になんかあっかなぁ。あれはこれはと思い浮かべながら進んでいると冷凍物のところに行き着いた。端から端まで眺めて視線を止める。あ、これいいじゃん、アイス。最近のいつだったか勝手に月子のアイスを食べて怒られたことがあったから、その償いににもなるし。アイス、買って帰るか。

数分前に並んだ場所にまた並ぶ。今度はアイスを5つだけ持って。月子が2つ。俺も2つ食べたいけどここで同じ数にしたら償いになんないから、俺は1つ。






会計が終わって袋に入ったアイスを受け取ると自然に歩くスピードがはやくなる。ふたりとも、喜ぶかな。おとうさんだいすきとかいわれちゃったらどうしよう。

右手に持った小さな袋を振り回したい気持ちを堪えて店を出た。


110904
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