ゆっくりと閉じられていく瞳を眺めながら、泣きたくなった。



もう疲れたと彼女は言う。俺に縋って縋って、泣き叫んだ後に吐き捨てられたその言葉はなんて重さなんだろう。彼女がひとりになりたくないと、掴まれていた手がその重さに耐えられずに離れてしまいそうだ。離れてしまわないように俺も必死に掴むけど、ここで放してしまったら彼女はどうなるんだろ?もがいてもがいてまた俺に縋ってくれるだろうか。それだったら、この重さに任せて手を放してしまいたい。そうすれば彼女はもう二度と俺から離れられなくなると思ったから。だけど現実、そう上手くいくことはなかった。爪が掌に食い込むくらい強く俺の手を掴んでいた彼女の両手を振り払った瞬間、彼女は驚くこともせずに笑った。まるでそうするとわかっていたかのように。そこで俺はやっと自分が間違ったということを知った。何があっても、放しちゃいけなかったんだ。だけど、もう遅いんだな。数秒前の自分が憎い。目の前にいた彼女は笑い、そして止めた。彼女のすべてを。そうして笑ったまま閉じられていく瞳を眺めながら、俺は泣いた。





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100802



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