「ねぇ」
「うん?」
「そんなに慌てなくていいよ」


なるべく優しく。優しくなるように声を出す。緊張してるのかなんなのかわからないけど今日の月子はおしゃべりだ。それでそれでと楽しそうに話している姿は普段よりも幼くみえて可愛いけど、何もそんなに慌てる必要はないと思うんだ。


「ほら、深呼吸しな?」
「え、あ、」
「吸ってー、吐いてー」


僕の言葉にまた君は慌てて深呼吸をする。どうしたもんだか。だけど一応深呼吸の効果なのか月子は少しおとなしくなっていた。ふぅと息を吐いていきなり僕をみるもんだから内心焦りながら笑ってみせる。どうしたの?と聞けばごめんなさいと返事がきた。謝ってほしいんじゃないんだけどな。せっかくこれからはずっと一緒にいられるんだからもっとゆっくりしたいだけなんだけどな。それを伝えるにはどういえばいいんだろう。わからないけどわからないから、僕なりの言葉で伝えてみる。これからも一緒なんだよって。だから慌てる必要ないでしょって。ね?


「焦らなくていいんだよ」
「はい」
「だって僕らにはさ、」



君に伝わったかな?





時間はたくさんあるんだよ

郁誕企画そのご
100606



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