一
・いつも通りの突撃。
・名前は固定。
・本人のみ持ち帰り可。
「吉継吉継吉継吉継吉継よぉーしぃーつぅドゴッ!!へぶしッ!?」
「何ぞ、聞こえておるわ」
皆様お早う御座いますごきげんよう今晩和。僕の名前は竹中時継と言います。僕についての詳しいプロフィールは僕を生んでくれた方の…おっとそれは隣に置いておこうか(鉄扇を開く)。
早速だが吉継の名前を連呼して部屋の襖を開けた瞬間、僕の頬に彼の数珠がめり込みました。
いやいや、てふてふ様よ。僕まだ何もしてないし、言ってませんが…。何だこの恒例挨拶は?
「して何か、時継よ?」
「ぐえ、ぐぇ」
「潰れた蛙の真似を三成に披露する前にわれに披露するか?“神童”と呼ばれたぬしはやはり常人とは少しばかり異質な事をしやるナァ」
すみません、てふてふ様。
あなたの輿が相変わらずのベストポジションで僕の声を潰れた蛙みたいな声にさせてるんです。いや、痛いのよ吉継。察してよ、苦しい苦しい苦しぐぇぇぇ…ッ。
「われの部屋にて、ぬしの臓器が出るのは勘弁願うか」
「げほッ」
背中から離れる輿と吉継の重さから解放された圧迫感。
てか吉継よ…輿と君の重さって結構あるからいつか僕は君に背骨を折られてしまうんじゃないかと不安になるけど…まぁ、吉継がそんな事する訳がないのでそこら辺の加減は解ってると思う。
きっと多分、……絶対…。
「ぶはッ」
「ヒヒッ、先程から言葉を発しておらぬではないか、時継よ」
「そうさせていたのは君だろう?」
「ハテ、われには頓と」
お決まりの台詞。
お決まりの表情。
ヘラヘラと笑いながら吉継が数珠をくるくると回す。
「……如何した、時継」
そうしてその後は、ちゃんと僕を目を見て、輿を降ろして、本当にどうしたのかと訊ねてくれる。
「うん、まぁね」
「それでは解らぬ」
「三成と饅頭食べてたんだけど、秀吉様が三成を呼んじゃってさ」
「"ぼっち"になり、サミシクなって三成の代わりに、われと饅頭を食せと?ぬしにとってわれは所詮、三成の代わりと言うのか」
「…解ってる癖に」
嫌味な言い方。
でも本当はそう思ってない。
君はそう言って、嫌味をいっぱい言うけど、こうして僕が饅頭を出せばお茶の用意をしてくれる。
「時継よ、職務は終わったのか?」
「うーん、目処がついたから」
「さよか」
「吉継は?」
「似たようなモノよ」
「そっか」
「またその様に目の下に隈を作りおって…“神童”と謳われておると言うのに、今の姿にはその威厳がまるでないではないか」
「あっははは。だってさ、だってさぁ……養父殿(半兵衛)が持ってくる書簡の山が…山がッ……ごんべ君の監視に耐えながら」
「ごんべとは誰ぞ」
「………………八坂君」
どうしよう。
一瞬、八坂君の名前をガチで忘れかけた。ごめん、八坂君(そんな事より書簡に署名ください by八坂)。
「…………ほれ、時継」
「?」
「此処に頭を乗せやれ」
“此処”と、正座する自分の太腿を叩いて場所を指す吉継。え、何?其処に何を置けと?僕の頭?え、頭部って事?
「よ、吉継どうした…?え、何?熱でもあるの?大丈夫なの?」
「良くも悪くもないナァ」
「何?何の心境の変化?え、まさか其処に頭乗せた瞬間に数珠が五つ降ってくるとかそんなオチだよね?身体張ったコントをしろっての?」
「“こんと”とやらが何かは解らぬがぬしがそれを望むならばしてやらんでもないが?」
「ごめんごめんごめん、頼むから数珠の巨大化は止めて下さい後生ですから刑部様」
「われに様を付けて呼ぶでない、気味が悪くて適わぬ。いいから来やれ、ホレ」
「うわッ」
来やれとか言いながら数珠を使って強制的に僕の頭は吉継の太腿に落ちる。下から見上げるその顔……てかいつも吉継に見下ろされてるのに、何故かこの体制が非常にむず痒く感じて、すぐに頭を上げようとするも、それをさせまいとばかりに吉継が数珠を使って額に押し付ける。
「ちょっと、吉継ッ」
「ヒヒヒ」
「デコ痛い痛い痛いッ!!」
「ぬしが諦めたら数珠を退かそう」
本気で数珠を退かす気はないらしく、それでも頑張って抜け出そうにも連日続いた職務の疲れが響いて、身体が思うように動かない。そしてすぐに体力的に限界を感じて、半ばやけくそに頭を預けたら本当に数珠を退けてくれた。
「暫し、そうしておれ」
「……足、痺れるんじゃ」
「なぁに、ぬしの頭の重さなど太閤の拳と比べれば軽いモノよ」
「………(う、ね…眠い)」
吉継の言葉、そして身体の力を抜いた途端に、正直に生きる僕の身体は“睡眠”を欲した。
いや、流石に寝たら駄目だと思いつつも、身体は貪欲にそれを欲して、ゆるゆると閉じていく瞼と戦いながら…振り絞る気合いで何とか堪えていれば急に視野が真っ暗になった。
「寝よや、寝よ」
「……ぅ、…だ…め…だっ」
「…眠れ、時継」
「………」
プツリと、僕の意識は闇に落ちた。
「…マァ、偶にはわれにも良かろ」
そんな事を呟いた吉継の言葉を聞く事もなく、僕は深い眠りに就いていた――
君の膝枕。(さ、時継君。僕や三成君に何か言い残す事はないかな?)
(すいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいません本当に勘弁して下さい養父殿、ただちょっとの息抜きのつもりだったんです本当なんです後生ですから鞭をビシバシしないでください)
(ヒヒヒッ!!われの膝を枕にして涎を垂らしながら熟睡しておったではないか、ナァ時継よ?)
(だ、だって吉継の膝枕気持ち良かったんだよぅッ!!)
(……………………………刑部)
(何ぞ?)
(……………)
(次はぬしがしてやれ)
(はッ!?なッ、ななななッ!!)
(ヒヒヒッ!!)
ローリング土下座でお礼を言いにいこう(`・ω・´)
いつもいつも書いて頂いているのに、何も返せていないというのはただ単に私が不甲斐ないハウスダスト改め雑草だからである(ドヤァア)
……すみません、お礼の品書きます、書かせてくださいすみません(ジャンピングからのローリング土下座)
→ダイレクトメールで頂いたオマケ
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