四十八ノ話







まず始めに言っておこう、私はチキンである。




無論、食べ物ではない方のチキンだ。

どれくらいチキンかと言うと、強面の人と真っ正面から向かい合うと視線が泳ぎ回り、そして不自然な敬語ばかり使用し心も体も萎縮してしまう程度にはチキンである。

そしてビビりでもある、足元に仕掛けのあるタイプのお化け屋敷に行くと意地でも仕掛けを踏むまいと無駄に頑張るタイプのビビりだ(そして違うトラップに引っ掛かり絶叫するのは鉄板である)。

ここまでの説明で私がどうしようもない小心者であることは察してもらえたはずだ。

もしそんな私が、電車の線路とまではいかないが大きな一文字の傷が頬に走る、いかにもそちらの職に就いてますが何か?と言わんばかりの強面で自分の一回りも大きいがっしりした体躯の男性と二人っきりになったとしたらどうなるか。














「あのすみません本当にすみませんごめんなさい申し訳ございません足手まといな上に方向音痴な私も一緒にあそこから連れ出して頂けて誠にありがとうございますヤクざ、あ、いえすみません愚弄した訳ではないんです決して貴方様、えーと失礼を大変承知でお伺い致しますが貴方様の御名前を頂戴しても宜しいでしょうか?」



こうなる。



夕暮れ時が近いのか、薄暗くなってきた景色の中、質素でありながらも決して野暮ったくなく京の都とはまた違う垢抜けた気品を漂わせていた松永公の屋敷が静かに燃え朽ちる様を背景に頭をズリズリと地面に擦りつけながら土下座をする私、そしてその前に立つ強面の男。

端から見れば私が強面の男の屋敷を燃やしてしまって謝罪している、みたいな光景に見えるだろうが、実際は違う。

「……取り合えずこれだけ言わせろ。顔を上げて落ち着け」

男が呆れたような声色で私の肩にポンと片手で触れてきた。


結局、松永公はこの男に出会う前にとんずらしたらしい――自分の屋敷に火を点けて。


危うくその火災に巻き込まれそうになったのだが、何故かこの強面の男が私を樽のように担いで助けてくれたお陰で何とかこうして死なずにいられた。

……おい屋敷に私いるんですけど何しやがりますのでしょうか?という松永公に対する文句は後程再会したときにでも伝えるとしよう。

宥めるように肩に触れる手つきが存外にも優しかったので「あれ、もしかしたらこの人実は優しい人なのでは?」等と少し期待しながら恐る恐る上を見上げたが、背景の燃え盛る炎の光を受けて照らされる彫りの深めな強面の顔が何とも言い難い陰影をつけてドアップに映るという、下手したらホラー映画よりも怖いかもしれない光景を目にして「ヒィッ!?」と情けない悲鳴を挙げて私は睨まれた蛙のように固まった。

だって怖い、今まで会ったことのない怖さを醸し出すタイプの人に萎縮しまくりな上にこの光景である何この仕打ち。

豊臣軍だって結構怖いメンツ揃ってるのでは?なんて言われそうだが、弁解させてほしい。

秀吉様は王者の風格から発せられる威圧感みたいなのもあってそれはまぁ確かに多少は怖かったが、それはまぁ同じ軍というかそもそも自分の国の大将だったしそれに見た目に反してそんなに恐ろしい人ではなかったというか身内に優しい人であったし、半兵衛さんの怖さは一見優しそうに見えて実は羊の皮を被った閻魔大王でしたみたいなよくあるパターンで実は一番恐怖を感じるかもしれないギャップという名の意外性を突いてくる怖さであったし、三成は「君人間だよね?」みたいな人外の怖さを醸し出す時がたまにあり二度見してからその恐ろしさを感じるという怖さで、吉継はカカア天下の家庭の夫が妻に対して感じる恐れみたいな怖さのタイプなのである。

まぁ上記の例は一緒にいるにつれて慣れてきた怖さだ。

しかし、一睨みされたら殺されると感じるような、明らかに人一人は簀巻きにして東京湾に沈めてそうなそちらの職に就いてますと顔で語るような強面の人は身の回りに一人もいなかったため、「実はこの人優しいんだよ」と誰かに言われてもそんな馬鹿なと信じることが出来ない程度には全くと言って良いほど耐性が無いのだ。

そんな私が例え目の前の893――いやこう思考する内容も読み取られていそうなのでヤーさんと呼ばせてもらおう――が命の恩人だと分かっていたとしてもこんな態度を取ってしまうのは仕方のないことなのである。


――だからそんなに見つめないでヤーさん怖いです。


ガクブルと震えながら見つめ返す私をヤーさんは暫し観察するように眺め、やがて視線を落として長い溜め息を吐いた。

「……これ以上近付かねぇから、そんなに怯えるな」

「す、すみません私人見知りで、」

「いい。自分の顔が周りにどう見えているのか、自分が一番知ってる」

ハァ、と何処か遠くを眺めて何かを悟ったような溜め息を小さく吐いたヤーさんに何故だか一瞬で近視感というか、同情が出来た。

いや、何か苦労人特有の哀愁を感じ取ったというか、「おっとこの人は同類だ」と感じ取ったというか、とにかくこの人は仲間だと悟れた、恐らく吉継や秀吉様、甲斐の派手な忍君も同じ匂いを嗅ぎとれた筈だ――何だ、やっぱり苦労人か。

それだけでヤーさんに対する恐れは大分軽減された……軽減されただけでまだ怖いと思っているのは言うまでもないが。

しかしまぁ、たったそれだけの心持ちようの変化があるだけでも、内心パニックになっていた私が多少は思考を回転させることが出来る程度に落ち着きを取り戻すには十分というもので、いつものように微笑を浮かべてヤーさんに向かい合うまでには冷静になることが出来た。

「あの、申し遅れました。私は――千鶴、と申します」


初対面の人間に心を許すことなかれ。


それは半兵衛さんから教わった交渉術の一つだ。

特に相手が自分の命を助けた人であれ敵味方か判別着かない場合は決して名を明かすな、というのは耳に胼胝が出来そうな程教え込まれたこと。

咄嗟に千鶴姫の名を名乗ってしまったのは少々不味かったかもしれないが(彼女は家柄共に色々と有名なお姫様らしい)、まさか名前だけで彼女と間違われることはあるまいと直ぐに考え直してヤーさんに微笑を向けた。

とにかく自分の名前が相手にばれなければいい(私の名前も彼女と同様に名が知られているのだ)。

それに、助けてもらってあれなのだが、相手が誰であれ隙をついて三成達のもとへ戻らねばならない。

ヤーさんはこちらをジッと見つめながら一瞬間を置いたものの、「そうか」と浅く頷いた後。

「俺は――片倉景綱だ」

「片倉景綱様、ですか……奥州の竜の右目と同じ名前とは、奇遇ですね。素敵な名前です」

フフ、と微笑み掛ければ、ヤーさんが瞬きした。

「……俺だ」

「?」

何が?と首を傾げる私に、ヤーさんはどうやら私が聞き損ねたと思ったのか、しっかりと、はっきり、丁寧に次のように発音した。

「俺が竜の右目、片倉小十郎景綱、だ」

「……………………………うっそーん……………」

――脳裏で「捕らえて仲間にするんだ時継君!」と目を輝かせる半兵衛さんの幻覚を見た気がした(半兵衛さんは一時、彼を仲間にすむために画策していたことがあった)。


と言うわけで場所は変わって、奥州を統べる伊達政宗公の居城、岩出山城。


どんだけ変わってるんだというか何故そんなところにいると言われそうだが、そもそも松永公の屋敷が実は奥州にあったのであるというところから弁解させてほしい。

どうやら松永公は全国のあちこちにひっそりと自分の屋敷を建てているらしい、そしてその屋敷を拠点にその国の主の武将達の宝を盗むという傍迷惑な盗人を働いているのだとか。

例に漏れず伊達軍も松永公に大事な宝を盗まれたのでそれを取り返すためにヤーさん、片倉さんは松永公の屋敷の居場所を突き止め宝を取り戻すために突撃したようだが、肝心の宝は何とか取り返せたものの松永公はトンズラし、後に残ったのは火を放たれた無人の屋敷と誘拐された私だけだったというわけだ。

助けたのも何かの縁だ、親元へ送り届けよう、何処の出身だと何ともご親切かつ非常に困る片倉さんからの申し出に、適当に奥州の地侍の末娘故に自力で戻れるとでも答えようと思ったが、

「東の訛りがないな。西の出身か?」

……という、何とも鋭すぎる片倉氏の観察眼のもと、そんなでっち上げの嘘がつけなくなってしまったので候ちきせう。

渋々、もしかしたら捕虜の身になるかもしれないという覚悟も決めつつ西の出身だと打ち明けると、片倉さんは暫し沈黙し、それから、


「……一月(ひとつき)だ」


ポツリ、そう言った。

何のことだと目を丸くする私を前に、片倉さんは怖いほどに真剣な顔でこう続けた。

「一月もあれば、自力で“家”に帰る準備を整えられるな?」

「――え、」

一瞬、何を言っているのか理解できなかった。

しかし、直後片倉さんが苦虫を噛み潰したような面持ちで斜め下に視線を落としてボソリ、「俺も焼きが回ったか」と呟いたのを聞いて、何となく察した――片倉さんは私が西の、恐らく敵方の人間だと分かっていながら見逃してくれる、らしい。

しかも、一月という準備期間も付けて。


甘い、と言えば良いのか。


一瞬だけ、ほんの一瞬だけ片倉さんに対する恐怖が完全に消え失せて、気が付けば強面の顔を覗き込んで口を開いていた。

「……私、貴方の敵かもしれませんよ?」

「眼を見れば分かる、お前は敵方の人間だろう」

「分かっているのに、逃がすんですか?」

「女子供は戦に関係ねぇだろうが」

「貴方を殺すくの一かもしれませんよ?」

突然、片倉さんが吹き出した。

可笑しそうに喉で笑う彼の姿に戸惑っていると、何の前触れもなく両手を掴まれ、両の掌を上に向けられた。

私の掌をクッと軽く握り、片倉さんは可笑しそうに言った。

「武芸を扱う輩にこんな掌をした奴はいねぇよ」

咄嗟に視線を掌に落とすと片倉さんの男らしい、硬く大きな、武骨な手に掴まれるあまりにも頼り無い私の手が視界に映って――そりゃそうだと、ちょっと自嘲気味に笑って頷いた。

私は、戦で戦う武人ではない。

片倉さんの言葉は存外に、そんな私如きの腕では片倉さんを殺すどころか太刀打ちすら出来ないと言っていた。

確かに、一般人より武芸を習ったとは言え私の腕前ではもし仮にこの人から逃げ出せたとしても、その後何の準備も無しにこの戦国の世で無事に大阪まで帰れはしない。

つまり、何か別の思惑があったとしても、無事に大阪まで辿り着きたければ今は片倉さんの提案を受け入れるしかないのだ。

もし彼が善意と言うか、真心からこの提案をしているのだとしたらどれだけ義理堅い、と言うか心優しい人なのだろうか、とボンヤリ考えながらも「恩に着ます」と頭を下げて述べると、片倉さんが両手をそっと離した。

「お互い松永に振り回された者同士、情けを掛けるだけだ」

そう言って背を向け歩き出した彼を見送りながら、さて一月の間でどうやってお金を稼いで旅支度を整えようか等と考えていると、急に彼が振り返った。

「おい、何してやがる。さっさと来い」

「……へ?」

理解できなかった。

呆然と見返していると彼が大きな溜め息吐いてズンズンと大股で戻って来るなり、ガッシリと私の手首を掴んで歩き出した。

引っ張られる形で歩き出したのでつんのめりそうになりながら歩く私に、彼は呆れているととれる声色で言った。

「どうやら俺の言葉が足りなかったみてぇだな」

「え?いやあの、なんで?へ?ほ?」

「仮にも武家の娘なら男の前で間抜けな声出すんじゃねぇ」

「え、いや、だって、」

何故私は貴方に手を引かれて歩いているのでせうか?と混乱する頭で問う前に、彼はこうはっきりと宣った。

「一月の間、お前が家へ戻る準備が整うまで、俺が世話を見る」



「やべぇ、漢がいる」と思ったのが率直な感想だった。



そんなこんなで、片倉さんが仕える伊達政宗公の居城、岩出山城に来たのである。

「政宗様には俺から話を通す」

故に余計なことは話さなくても良いと片倉さんが言うので、大人しく頷いた。

ここでボロを出して私が竹中時継だとばれるわけにはいかない。

何てたってここは東軍に属する伊達軍の城でもあるのだ、ばれたらどんな目に遭うかなど想像するに難くない。

既に文で連絡でも通っているのか、岩出山城に着いたのと同時に広間へと案内され、片倉さんが前に座り、少し離れて後ろに私が座るという位置で下座に座り城主の到着を待った。

「政宗様は女子供に手を出さねぇ。安心しろ」

真っ直ぐに背を伸ばし胡座姿で堂々とそう言う片倉さんの言葉を信じたいのは山々だが、それは私の正体がバレるまでですよーと内心ぼやく。

竹中時継が私だとバレるということは、女の格好をしていることもあって竹中時継が女であるとバレるのも時間の問題と言うか、そもそもその格好の時点で言っているようなものなのである。

どちらにせよ三成達を誘き出す良い餌にもなるし、度々伊達軍を苦しめてきた竹中の名字に泥を塗る絶好の機会とも言えるのだ。

例え女子供に手を出さない賢君と名高い武将でも、今後のことを考えれば手を出さずにはいられないだろう。

さて、どうしたものかと顔に出さないように悩んでいると、



ドガァァアアン



地を揺るがすような地響きと轟音。

パラパラと天井から砂埃のようなものが落ちてくる中、敵襲かと驚く私を他所に片倉さんが綺麗な姿勢のままジワリと殺気をその身に纏った。

「……あの野郎」

「ヒィッ!!?」

何今の地の底から響いたような恐ろし過ぎる低音、そして殺気、般若を背負っているようにしか見えない背後しか見えないのに怖すぎて思わず後ずさってしまった怖すぎる怖い何このヤーさん心なしかその身に雷を走らせているように見えるのですが気のせいでせうか?

片倉さんが一歩も動かず騒がないことからどうやら敵襲ではないようだが身内に対する反応にしてはやけに殺気が鋭すぎる怖い、それとも伊達軍では身内にもこんなに殺気を飛ばすのだろうか。

半兵衛さんが過去に「伊達軍は暴走族の集まりだよ」といけしゃあしゃあ言っていたことがあったがあの話はマジだったのか。

何にせよいったい何が起きたのだろうかと気になりつつも、ピクリとも動かない片倉さんの手前、私が様子を見に動くわけにもいかない。

未だ般若を背負い続ける片倉さんから少し距離を取りつつも、早く伊達政宗公でも誰でも良いからこの空間から連れ出してくれとそう心から願っていると、荒い足音がこちらに近付いてくる音を聞いた……うん、凄く苛立ってるねこの足音の主、ダンッダンッとそれはもう力強い音が聞こえてくる。

障子にその足音の主らしい影が映るのと同時に、スッパァァアン!と障子が吹っ飛んだ。

吹き飛んだ障子から現れたのは、一人の不機嫌そうな青年だった。

焦げ茶色の髪に、顔の造りは深めであるものの確かに美青年であると納得できる端正な面持ち。

そしてそんな整った顔立ちの中で最も目を引くのは、

「片倉小十郎只今戻りました、政宗様」

そう頭を下げる片倉さんの言葉に、彼が誰であるのかを理解した。

そして彼の面持ちの中で異様な存在感を持つそれに視線を向ける。

右目を覆う、刀の鍔で拵えた、眼帯。

武骨なそれは存外にもその面持ちに妙に合っていて、青年の顔立ちと言うか、雰囲気に何やら重みを乗せていて、大人びた青年の雰囲気とマッチして彼が只者ではないということを示しているかのように見えた。

……うーん、何やら日本史で習った、と言うか先生の雑談で聞いていた伊達政宗公身長小さい説はどうやらこの“世界”では違うようだ。

しかしまぁ成る程、これが例の独眼竜かと観察しながらも、頭を下げる片倉さんに合わせて頭を下げた。

「Long time no see!遅かったじゃねぇか、小十郎。嫁探しでもしてたのか?」

「遅くなり申し訳ございません。宝は取り戻しましたが、松永には逃げられました。この娘は松永に拐われ軟禁されていた者です。家に戻る準備が整うまで面倒をみたいのですが、」

「Captive princess、か……」

政宗公から見られているのが何となく分かって顔を上げると、茶色と分けるには色素の薄い色合いの、梅幸茶という色合いによく似た色彩の瞳とパッチリ目が合った。

慌てて頭を下げれば、彼が笑う気配がした。

「そう怖がらなくていいぜ、Princess。Could you show me your face ?」

完璧な発音の英語。

完璧すぎて外人と話しているのではないかと錯覚しそうなほど、彼の発音は綺麗だった。

何故彼ほどの人物が南蛮の言語の一つである英語を使いこなすのか、いや伊達男の語源の由来と言われる彼“だからこそ”なのかと、先生の雑談話の伊達政宗公の話を思い出しつつ、流暢な英語に促されて恐る恐る顔を上げると、やけに真剣な表情で此方を見つめる目と視線が合った。

観察されているような、居心地悪く感じる程にじっくりと見つめられ、何かしただろうか、まさかバレたかと不安に思いつつ取り合えず愛想笑いを浮かべ「千鶴と申します」と自己紹介すると、政宗公の表情が変わった。

何かを思い出そうとするかのように切れ長の目が細められ、彼が唐突に口を開いた。

「アンタ、」


ドガァァアアン


先程の轟音と地響き再来。

何事かと周りを見渡せば、片倉さんが肩を震わせて俯き、腰元の刀に手を添えて抜刀の型を取りながら片膝をダンッと立てるのが見えた――殺気を体現しましたと言わんばかりに蒼白い雷を体に纏っているのは見なかったことにしたい切実に。

「――処理してきます」

先程とは比べ物にならないほど恐ろしく低い声色に共鳴するように背景の般若がグレードアップしているのも序でに見なかったことにしたい怖いよ何このヤーさん怖すぎもうやだ逃げ出したいと思ったのはここだけの話である。

と、そんな彼にストップを掛けた天の声が一声。

「……Wait、小十郎……あいつには何言っても無駄だ……」

疲れはて、諦めた先に悟ったような天の声だった。

政宗公に視線を戻せば、彼は天を仰ぐようにして上を見上げ片手で目許を隠していた――いやどうした奥州筆頭、何だその今にも泣き出しそうなポーズ、主従揃って苦労人なのか。

何がこの二人をここまでさせているのだろう、いや先程の爆音と地響きが原因なのは目に見えているのだが。

事情でも聞いてみようかと恐る恐る声を掛けようとしたその時、軽快な足音がこちらに向かってくるのが聞こえた。

そして障子に一つの影が差すのと同時に障子が開いて、



「――独眼竜!見てくれ、ワシが生み出した絆のちか、ら……」


















黒い瞳に、恐れを見た


















(……やぁ、久しぶり)
(っ……なぜ、貴方が――)
(?知り合いか、徳川?)

(!I see……道理で見たことがあるわけだぜ)


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