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『死んでもいいよ。』
それがアイツが僕にくれたただ一つの言葉でした。
人によって僕はかまってちゃんとか、死にたがりに見えるくらい
僕は何度も何度も死にかけた。
その度に人は
『死んじゃダメだ。』
『生きろ。』
『世の中には生きたくても生けれない人がいるんだ。』
『死んだら悲しむ人がいるんだぞ。』
そんな言葉を僕にくれた。
別にかまって欲しい訳でも、何かに悩んでいる訳でもないのに
勝手な自分的解釈をしてその解釈を誰もが僕にくれた。
僕は今日の死にかける場所として、迷惑極まりないが学校の屋上を選んだ。
だけど屋上には先客がいて、フェンスを背もたれにして座って
紙パックの飲み物をストローで飲みながら、一途に空を仰いでいた。
まぁ気にする事もないかと僕はフェンスに足を掛けていく。
そして乗り越えて建物の淵に立ったらふと
屋上の先客者が気になって後ろを振り向いた。
そしたらソイツは真っ直ぐと僕を見据えていたから
僕もただなんとなく見据え返してみた。
見据え返しているうちに
コイツもまた僕に自分的解釈をくれるのかと思って
「何、止めたいの?」
って聞いたら
『いや、死んでもいいよ。キミが本当に死にたいなら。』
そう嫌味や強く吐き出された嫌悪ではなく
真っ直ぐとした口調で
ただただ僕にとってガラスや綺麗な水の様に
純粋で安らぎのある言葉を目の前の先客者はくれた。
『死んでもいい。』
誰もが前向きで押し付けがましい偽善者な言葉をくれるのに
ソイツのくれたその一言で僕は全てが許された気がした。
"生きろ"というキツく重たい言葉の鎖に縛られていた僕は
"死んでもいい"という言葉で自由になった。
その日僕は初めて死にかけずに穏やかに死ねました。
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