T
ext page
久しぶりに通った夜の交差点。
冬である今の空は、少しの時間でもじわりじわりと、澄んだ藍色や黒で汚していた。
そんなスケッチの下にある、とある場所の交差点。
大きな道路で、近くに高速道路の入口があるせいか、
がたがたと急ぎ足で走る車輪の付いたモノと生のあるモノで賑わっていた。
そこをじっと、そしてぼんやりと眺めてみた。
乱雑にきちんと並んで派手な身体をあっちへ、こっちへと飛んで行き交う灯。
パーカッションの練習をしながらさまざまな表現を持って、落ち着かない音。
周りなど見えてない様にただただそのコンパスを進め、多彩な面を被った表情のない顔をした人なるモノ。
そんなモノ達がさも当然の様に、僕の周りをすり抜けていた。
あぁ気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い?
こんな異常な世界なはずなのに。
僕だけが異常じゃなくて他は異常。
すべてが異常なこの世界では、異常じゃない僕が異常だった。
そう思った瞬間、僕の視野は90°いや180°。もしくは270°かもしれない。
またはそれ以上、それ以下かもしれない。
とにかく僕の視野はぐるぐる回転をしてのけたのだ。
いや、本当は回転なんぞしてないかもしれない。
まぁ事実なんてどうだっていいんだ。
僕は視界のでんぐり返しをしたら灯も音も人なるモノもない、正常な世界に交差点の中心から落ちたんだ。
それなのに両親は泣いていた。
あぁ…やっぱりそっちの世界は異常で逝かれてるよ。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -